
2027年に開催される「GREEN×EXPO 2027」の魅力を先行体験する「GREEN×EXPO 2027 先取りセッション vol.1」が開催されました。
第1回となる今回は「グリーンインフラ」をテーマに、主催者・出展企業・専門家が一堂に会し、生態系がもたらす経済的価値や、経済的豊かさから質的成熟社会への転換期におけるグリーンインフラの可能性を多角的に議論。企業間の「対話と共創」を通じて、未来に向けた具体的な取り組みと先進的な都市像が浮き彫りになりました。
「GREEN×EXPO 2027 先取りセッション vol.1」
2026年6月17日(水) 16:30~18:30 @SHIBUYA QWS
主催: 一般社団法人SWiTCH
共催: GREEN×EXPO 2027 / 一般社団法人渋谷未来デザイン / 環境コンソーシアムCNUD
スピーカー:
脇坂 隆一(GREEN×EXPO協会 推進戦略室長)
横張 真(東京大学総括プロジェクト機構特任教授)
小山田 哉(東邦レオ株式会社グリーンテック事業開発リーダー)
小松 裕幸(清水建設株式会社環境経営推進室グリーンインフラ推進部主席マネージャー)
佐座 槙苗(一般社団法人SWiTCH 代表理事)

イベント冒頭、まずは主催であるSWiTCH 代表理事・佐座から、CNUD(カーボンニュートラルアーバンデザイン)について紹介しました。今回は「GREEN×EXPO 2027」の最新情報をキャッチできる場が渋谷にはまだ少ないという課題意識から、この対話会を企画。全3回シリーズの初回として、来たるべき万博への期待感を高めました。この取り組みは、単なる情報提供に留まらず、未来の都市文化を創造する一助となることを目指しています。
第1部 レクチャー:グリーンインフラの新たな価値と万博への挑戦
東京大学の横張真さんからは、「グリーンインフラ」の概念について深い洞察が語られました。従来の「グレーなカタ(従来の手続き)」に基づき「グリーンなモノ(材料)」で作られるインフラの限界を指摘し、これからは生態系のように成長・消失・再建がモザイク状に同時並行する「グリーンなカタ」に基づいたインフラが求められると提言。景観向上と都市再生という目的に応じた使い分けの重要性を説きました。

続いて、GREEN×EXPO協会の脇坂隆一さんが登壇。「GREEN×EXPO 2027」の開催地である旧上瀬谷通信施設の固有のランドスケープを活かした会場計画を紹介しました。川沿いの営農地での都市農業や、「循環型の令和の日本庭園」、さらには流域独自のシードバンクを未来へ引き継ぐための植生マット導入など、この土地だからこそできるグリーンインフラの挑戦が詰まっていると語り、万博が単なる展示ではなく、持続可能な未来への実験場であることを示唆しました。

第2部 取り組み紹介:「GREEN×EXPO 2027」出展企業の取り組み紹介
清水建設株式会社の小松裕幸さんは、2050年までに自然共生社会の実現を目指す環境ビジョン「SHIMZ Beyond Zero 2050」を掲げ、グリーンインフラの積極導入による生物多様性のプラス(ネイチャーポジティブ)を強調。同社の技術研究所が運営するビオトープ「再生の社」や「温故創新の森 ノヴァーレ」での実践例を紹介し、「GREEN×EXPO 2027」での出展コンセプト「地球と一緒に明日を育てる シミズ 森のまち」を通じて、子どもたちが五感で地球を守るために何ができるかを学べる場を目指すと語りました。建設業が環境負荷のイメージから脱却し、環境を豊かにする「ネイチャーポジティブ」を追求する先進的な姿勢が際立ちます。

東邦レオ株式会社の小山田哉さんは、「グリーン×クリエイティブ」で都市空間をプロデュースする同社の取り組みを紹介。大阪・関西万博のパナソニックグループ出展施設をリユースし、上瀬谷のロケーションを最大限に活用した「やさしくなりたい。STUDIO」を展開予定と発表しました。棚田や夕日を活かした心地よい空間づくりに加え、夜間のユニークなライトアップや、盆踊りとDJを掛け合わせたカルチャーイベント「盆ジョヴィ」など、ソフトと空間の関わり方で“新しい目立ち方”を創出する意図を語りました。

第3部 クロストーク:縦割りを越えた「共創」が未来を拓く
クロストークでは、登壇者間の闊達な議論が繰り広げられました。特に印象的だったのは、GREEN×EXPO協会 脇坂さんの「現在の出展チームの雰囲気は本当に素晴らしい。縦割りでバラバラに作るのではなく、それぞれの強みを持ち寄り、対話を重ねながらお互いの計画を高め合っている」という言葉です。

参加者からの「他社との連携において意識していることはありますか」という質問に対し、東邦レオ 小山田さんは、「当初は足並みを揃えるのが難しい部分も多かったが、早い段階からお互いの情報開示を進めて牽制し合える場を作れたことで、ハード面だけでなくソフト面での連携の可能性が見えてきた」と回答。コンテンツの共催、共同での消防訓練、警備会社の一括発注によるコスト削減など、具体的な連携事例が紹介されました。

東京大学 横張さんが提示した「単に周囲の環境に馴染ませるだけでなく、環境の中でパッと目を引くような、新しいグリーンインフラの目立ち方」という問いに対して、清水建設 小松さん、東邦レオ 小山田さんはそれぞれ、生態系ネットワーク技術による「持続可能な社会の仕組みのアップデート」や、ライトアップやイベントを通じた「人や活動が調和しながら引き立つ新しい目立ち方」を提示しました。いずれも、既存の概念に囚われない、創造的なグリーンインフラのあり方を模索する姿勢が現れています。

また、当日会場で体験ブースを展開したINFORICHの大橋さんからは、モバイルバッテリーのレンタルサービス「ChargeSPOT」を通じた「シェアリングエコノミー」の考え方と、それがCO2削減や資源保護に繋がるという視点が語られました。SWiTCHの佐座もこれに応じ、「防災×グリーン」のシナジーに触れ、社会課題を解決するインフラが広がることへの期待を述べました。
まとめ:GREEN×EXPO 2027への期待と未来への展望
「GREEN×EXPO 2027 先取りセッション vol.1」は、来たる万博で示されるであろう、具体的な行動と「共創」を通じたサステナブルな都市文化の創造が、単なる理想論ではないことを示唆するイベントとなりました。
来場者が楽しい経験を通じてライフスタイルを変えていくような「体験」の重要性が繰り返し語られ、鉄道などの大量輸送手段と連携したサステナブルな移動体験から、EXPO会場での都市農、ネイチャーポジティブを目指す建設技術、さらにはカルチャーイベントやシェアリングエコノミーまで、多岐にわたる取り組みが紹介されました。
「GREEN×EXPO 2027」においては企業や専門家が縦割りの壁を越え、活発な対話と連携を深めることで、これまでの万博のイメージを覆すグリーンインフラの形を模索していることがこのセッションを通じて明らかになりました。参加者のみなさんにとっても、未来を切り拓く「GREEN×EXPO 2027」への大きな期待を感じさせる貴重な機会となったことでしょう。

