渋谷未来デザインのプロジェクトに多様な視点から付加価値を与える特別メンバー:Future Designerに、今年7月から就任した関治之さん。一般社団法人コード・フォー・ジャパンでの活動をはじめ、社会をより良くするためのテクノロジーのあり方を模索してきました。そんな関さんのこれまでの取り組みや、これから渋谷で行なっていきたい活動についてなど、お話をうかがいました。
自分の技術を、企業のためだけでなく、社会のために活かすこと
——まずは関さんのこれまでのキャリアについて教えてください。
もともと私はエンジニアで、スタートアップなどいろんな会社で働いてきました。現在では会社経営もしていますが、いまだにコーディングを自分でもしますし、自分のことは技術者だと思っています。
最初はスタートアップで、例えばGPSを使った広告配信サービスや、古くは着メロをつくるサービスをつくったりしていました。そんななか東日本大震災があったときに、有志で集った仲間と一緒に、被災各地の情報を集約するためのウェブサイトをボランティアでつくったんです。それまで、自分の技術力は企業のために発揮するものだと漠然と思っていましたが、それだけじゃなくて何か課題を解決するために役立てることに興味を持つようになりました。
その後、引き続き被災地のためにお手伝いできることを探して活動していくなかで行政の方々とも話をするようになり、そこでIT技術をもっとうまく活用できる余地を感じ、2013年にコード・フォー・ジャパンの立ち上げに至りました。
被災地の避難住民向けに情報を発信するタブレット端末向けのアプリ開発のサポートをしたり、避難所のデータや災害に関するデータなどを公開するオープンデータの活動に取り組むなかで、だんだんいろんな自治体のお手伝いをするようになり、今ではシビックテック(※市民がテクノロジーを活用して社会課題の解決を目指す取り組み)といわれるような領域での活動や、いわゆるガブテック(※行政と民間が協業しテクノロジーの活用で行政サービスを効率化していくこと)といった領域でいろんな研修をやったり、実際にソフトウェアを提供したりといった活動を行なっています。
——関さんの本業というと、何になるんですか?
もはや何が本業なのか自分でも決めていないですし決める必要もないと思っています。コード・フォー・ジャパンもやっていますし、自分で経営している会社が2つあります。あとはデジタル庁でも働いていますし、あとは自治体のフェローなどもやらせていただいています。
本業って何なんですかね? 例えば収入の多さでいったら、もともとやっている自分の会社の割合が一番大きいわけですけど、使っている時間でいうとそうではなかったり、たとえばマインドシェアとしてはコード・フォー・ジャパンもかなり大きいですし。
——それぞれの活動で一貫している思いは何かありますか?
はい。やっぱり私は技術者なので、テクノロジーがもっとうまく世の中に使われてほしいという思いがあります。
特に震災以降に感じていることですが、技術はちゃんと使わないと、例えば人を分断してしまったり、人の仕事を奪ったり、争いを生んでしまったりと、悪い方向にも使えてしまうものです。だからそれがちゃんと世の中を良くする方向に向くようにしたいと思っています。
そのためには、技術を使う側も、つくる側も、お互いフラットに意見交換をすることが必要です。たとえば行政向けのサービスなら、行政側が「技術は分からないから任せます」と言ったり、技術者が「まちづくりとか分からない」とは言わずに、お互いが歩み寄って、どういう技術でどういう社会を目指していくのかというのを話せる状況が必要なんですよね。だから例えばコード・フォー・ジャパンであれば行政の中にも入っていくし、地域のコミュニティの中にもすすんで入っていきます。それらをつなげながらより良い社会にしていくための武器が、テクノロジーなのだと思っています。
公共空間をみんなで自由にクリエイティブに使えるまち
——そんななか、この度、渋谷未来デザインのFuture Designerに就任いただくことになりました。関さんから見て、渋谷はどんなまちですか?
私自身、渋谷に引っ越してきて結構長いんですが、住んでいるのが初台のほうなので、渋谷駅周辺のビジーな感じというよりも、落ち着いたまちの印象が強いです。明治神宮や代々木公園だったり、自分に身近なところでいうと笹塚〜初台の緑道だったり、実は緑の多いまちなんですよね。
——そういった自然をたのしめる公共空間の活用という面でも、テクノロジーが貢献できることというのはありそうですか?
たとえば緑道空間をもっと活かしていくために、みんながより自由にクエイティブにその場を使っていけるようなデータの使い方というのはあると思います。
FDSでもササハタハツまちラボ(※笹塚〜幡ヶ谷〜初台エリアの地域住民と共創しまちを魅力的にしていく事業)の取り組みのなかで導入されはじめていますが、公共空間の使い方を地域のみんなから提案できる、その空間をみんなで変えていく、といった仕組みづくりに対して、テクノロジーが貢献できる部分は大きいと思います。
テクノロジーによって、みんなでまちをつくっていくための意見の収集や合意形成がやりやすくなったり、ここをみんなで変えたことによってこれだけ良くなりました、ということが可視化できたりとか、そういうみんなの「やりたい」という気持ちを後押しするような技術の使い方ができるといいなと思っています。
またそれが、もっともっと普通の人にもアクセシブルに、当たり前になっていくといいですよね。
——テクノロジーというと、一部の、知見や経験のある人たちだけに開かれたものと思われがちですが、広く地域の方々に開かれて根付いていくようなテクノロジーの使われ方ができるといいですね。
はい。たとえばこどもたちが直接意見を出したり、それが実際に採用されたり、多様な当事者たちが参加できるというのが、すごくいいと思いますし、テクノロジーをうまく使うと、そういうインクルーシブなことができると思っています。
——最後に、関さんの今後の活動やビジョンについて教えてください。
住民の方々が、なにかやりたいことがあったら、まちをフィールドにもっと自由にトライしてみることができるようになるのが大事だと思っていて、それを機にまちづくりに対しても関わりしろを大きくしていけるようなことができたらと思っています。
地域の解決課題や要望などがあったとき、それをたとえばSNSで文句として言うんじゃなくて、もっとポジティブに、まちづくりの観点で意見を発信していけるようなツールを取り揃えていきたいです。
渋谷未来デザイン Future Designer インタビュー
林千晶さん – 自分が本当に生きたい未来に、とことん向き合う