「深圳へ通じる“本気の人”のためのピッチに」株式会社エアロネクスト 田路圭輔さんインタビュー

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「深圳へ通じる“本気の人”のためのピッチに」株式会社エアロネクスト 田路圭輔さんインタビュー

中国・深圳市のスタートアップ向け国際的ピッチ大会「The 2019 Innovation Nanshan Entrepreneurship Star Contest」。昨年に引き続き2019年も、渋谷区と中国広東省・深圳(しんせん)市 南山(なんしゃん)区が連携し、その日本国内予選が開催されます。

オンラインエントリーは7月26日(金)まで。書類審査通過企業は、8月22日(木)に開催予定の日本予選への出場権利が与えられ、予選優勝者は10月(予定)に深圳市南山区にて開催される世界大会に招待されます。

今回は、2018年の日本予選を通過し世界大会で3位入賞、またその知財戦略も評価され知的財産賞も合わせて受賞した、株式会社エアロネクスト 代表取締役CEO田路圭輔さんにお話をうかがいました。

株式会社エアロネクスト

株式会社エアロネクストは、UAV(無人航空機)やマルチコプターの機体フレームのあるべき姿を実現する、ドローン・アーキテクチャ研究所。同社が発明しピッチでも高く評価された独自の重心制御技術「4D GRAVITY®」を、産業ドローンの標準技術として世界に定着させることを目指し、そのライセンスビジネスにも取り組んでいます。

2018年の日本予選が、僕らの初めてのピッチでした。と語る田路さん。その後多くのピッチに参加し数々の評価を得ていく同社ですが、その皮切りはこの日本予選にありました。

田路圭輔さんインタビュー

「初めて行った人はみんな、深圳という街が持っているエネルギーにびっくりすると思います。たとえばキャッシュレス化など新しい社会インフラの実装がすごく進んでいますし、働く人はみんな元気で、なによりスピード感がある。ベンチャー企業が持つべきエネルギーが、深圳には溢れています。 だから深圳にはすごく興味があって、深圳へ通じるピッチというところに惹かれて参加を決めました。

深圳での世界大会の場も、街の雰囲気に押されて気分良く臨むことが出来ました。反響も良く、3位入賞ももちろんですが、知的財産賞という評価をもらえたことは、知的財産を経営戦略の中心に置く会社として大きな成果だったと思っています」

ピッチを主催するのは深圳清華大学研究院(RITS)と、その外郭団体でインターナショナルテクノロジー企業への投資を行うLeaguerX。なかでもピッチを経たのち、LeaguerXから得られた助力は大きかったと田路さんは言います。

「エアロネクストが中国でビジネスをやるならいろんな助けができる、と言ってもらいました。LeaguerXをどう使うかは田路さんが決めればいいんだよ、と。

中国で本気でやるなら資金ももちろん必要ですが、行政や企業との繋がりの深いLeaguerXには、現地チームをつくるための人材リソース面をサポートしてもらいました」

また、そうして中国へビジネスを展開するにあたり、エアロネクスト社の手元にはこんなビジョンがあったのだそう。

「一般的に、“中国で成功した日本企業はない”とも言われるように、中国で外国企業が成功するのは非常に難しい。中国は模倣や盗用のリスクが大きくある市場。それはこのピッチの日本予選でも審査員の夏野剛さんに“世界大会に出ることで盗用されるリスクはあるよね”と指摘され、僕も同感でした。

しかし僕らの『4D GRAVITY®』はいい技術だと信じているので、僕らが中国進出を躊躇することで他の技術が広まった結果ドローンの事故などが起こり、ドローン産業自体が停滞してしまうという未来よりは、たとえ盗用されようとも僕らの技術が広まって産業が活性化して拡大するほうがいい、と考えました。青臭い信念と言われるかもしれませんが(笑)。

また、僕らが中国という市場をどう捉えているかというと、極端に言うと世界市場へのショーケースのようなものだと思っています。世界のなかで中国はまぎれもなくドローン産業の中心地。中国という市場で存在感を示すことで、北米やヨーロッパといったほかの市場にアピールしたいと思っています。ただ単に中国の市場を取りにいっているわけではないんです」

田路圭輔さんインタビュー

世界を見据え、着実に歩を進めるエアロネクスト社。
田路さんは最後に、このピッチ『The 2019 Innovation Nanshan Entrepreneurship Star Contest』にはどんなスタートアップ企業が応募するべきか、という質問に対して、こう語ります。

「日本市場においてのイノベーションや社会実装というものに、疑問を感じているような人たちですかね。

日本でスタートアップをやっている人たちの多くは、少し視野が狭いような印象があります。いま日本では、大企業ではなくスタートアップという選択がいいみたいな空気感がありますよね。ピッチイベントもたくさんあるし、スタートアップのある種の“お祭り”みたいで。

だからそういうことに疑問を感じて、“ピッチイベントには参加しない“と考えているような人たちには、むしろぜひこのピッチには参加してほしいですね。 このピッチにはこれからも、“本気で世界を目指すスタートアップ オンリー”のピッチであってほしいと思います」

2019年日本予選の応募締め切りは7月26日(金)

STEP1 渋谷未来デザインのWEBサイトから…
http://fds.or.jp/ もしくは http://fds.or.jp/update062/

STEP2 フォームの入力
所要時間:10分程度
入力項目は全35項目ありますが、必須項目は約半数の19項目。

STEP3 入力完了
入力後送信ボタンを押して完了