学ぶの未来をデザインしてみる

子供第三の居場所プロジェクト
金山淳吾(FDS ジェネラルプロデューサー)
金山淳吾(FDS ジェネラルプロデューサー)

「渋谷未来デザイン」という組織の名前は、改めて見つめ直してみると大胆で、挑戦的な響きがある。
そもそも「未来」というのは、さまざまな要素が複雑に絡み合って、変化し続けていくものであるような気がするのに、それを「デザイン」しよう、つまり設計していこうというのだから。
しかし、「デザイン」という言葉には、もう一つ、「創意工夫」というニュアンスがあると思っている。

僕は、渋谷未来デザインの設立にも関わらせてもらったのだが、この組織にどんな思いを込めたか、と聞かれたとすれば、「渋谷という都市のこれからについて創意工夫するための仕組み」ということになる。
創意工夫という言葉には、「独創的なアイディアを見出し、新たな方法を考え出すこと」や「これまでにない新しい思い付き・独創的な考えで、よりよい方法・手段を生み出すこと」というような意味がある。
まさに、今、渋谷未来デザインという組織が、さまざまな領域で取り組んでいるプロジェクトは創意工夫へのチャレンジということができるのではないだろうか。

さて、そんな組織で僕が今、新たに取り組んでいるプロジェクトがある。それは、「好奇心を育む学びの場の創出」だ。そのきっかけとなったのは、昨年のSOCIAL INNOVATION WEEK。渋谷未来デザイン(以下FDS)のパートナー企業でもあるIMAGICAグループとともにWeather Wizard Academyという子供達向けの学びのプログラムを実施させてもらった。子供たちや、その親に「SDGsでもテーマになっている気候について、子供たちに興味を持ってもらうプログラムをつくったから参加して欲しい」という投げかけをしても、おそらく参加する子供たちは少なかったのではないかと思う。しかし、僕たちは「魔法使いになって、雲や雪をつくってみよう」というアプローチで参加者を集め、さらに、プロジェクションマッピングを駆使し渋谷キャストのイベントスペース全体を魔法使いの館として演出した。そして、天気予報士を講師として招きながら、実際に雲を作ったり氷点下の世界を再現したりすることで、子供たち自身が積極的に問いを見つけ、答えを求める環境をつくることができた。

IMAGICAのクリエイター・プロデューサー、関係会社のみなさんと共に創意工夫をすることで、学びのあり方の多様な可能性にチャレンジできたことは、大きな成功体験となった。この実験プログラムをロールモデルに、新しい学びの場づくりを実際に社会実装させていくプロジェクトが、今年度はじまる。それが、渋谷区の幡ヶ谷エリアに開設されているフレンズ本町という施設内にて展開する日本財団の助成プログラム「子供第三の居場所プロジェクト」だ。さまざまな環境の子供たちへの好奇心育成の機会創出を目的に、FDS、IMAGICAをはじめとするさまざまな企業や団体と連携して、放課後の居場所づくりに取り組んでいく計画だ。

FDSに参画する多くの企業の皆さんと一緒に、これからの社会を担う子供たちに、何にどうやって興味を抱いてもらうか、というプログラムをつくっていきたい。プログラムづくりの過程で、さまざまな発見や派生プロジェクトが生まれてくるのではないか、という予感がしている。

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