都市データ勉強会♯3「交通データ」レポート

レポート

最新の都市データの事例共有と一般社団法人渋谷未来デザイン、一般社団法人シブヤ・スマートシティ推進機構の会員間の連携を図るオープンな勉強会を開催しました。
「都市データ勉強会」は、一般社団法人渋谷未来デザインが主催でオンライン、オフラインのハイブリッドで年3回実施しました。2024年度は渋谷で大きな課題となっている「環境」「交通」のコンセプトを設定しました。

開催概要

日時:3月19日(水) 17:00〜 @GAKU
プログラム:
1.開会の挨拶
2.プロジェクト活動報告〜市街地モデル〜
3.プロジェクト活動報告〜商業地モデル〜
4.クロストーク
5.来年度の方針について
6.区議会議員からフィードバック
7.ネットワーキング

今回の勉強会では、TDPFのケーススタディ事業として実施した「各種交通データを活用したまちづくり推進プロジェクト」の活動報告と意見交換を中心に実施しました
TDPFとは東京都を舞台に、データ駆動型の都市政策をテーマに議論を深めるフォーラム。交通、環境、防災などの分野で、最新の技術や事例をもとに、データの収集・可視化・分析を活用した社会課題の解決策を模索する場です。
「各種交通データを活用したまちづくり推進プロジェクト」では、自動車やマイクロモビリティ(電動アシスト自転車、電動キックボード)や歩行者のデータをかけ合わせて、交通動態をマップ上に可視化・分析し、施策の検討などを実施しました。

プロジェクト活動報告〜市街地モデル〜

市街地モデルの分析では、マイクロモビリティの傾きの挙動に注目し、区内の交差点で傾きが発生しやす傾向などの可視化・分析を実施しました。STEP1で傾き等の挙動が起きやすい箇所はどのようなエリアか、STEP2で傾き等の挙動が発生しやすい交差点の特徴は何か、STEP3で自転車走行レーンやナビマークの設置は交通施策として適切なのかを分析しました。

分析結果を踏まえ、意見交換をしたところ傾きの挙動と危険な走向の関連性については、スピードが出ている、傾きの変化が大きい、急な速度変化などが危険な走向の指標となり得る可能性が議論されました。潜在的な危険箇所の可視化に向けては、データ全体のばらつきを見て異常な箇所に当たりをつけ、そこで何が起こっているかを議論してから全域的な活用による詳細な解析の可能性も示唆されました。また100mあたりの歩道の分析では、道の通りやすさや危険度を判断する指標として有効という意見がでました。

プロジェクト活動報告〜商業地モデル〜

商業地モデルの分析では、方面別駐車場への流入経路を分析し、駅前交通抑制の効果を検証するとともに、抜け道の車両の利用目的を明らかにし、交通規制や道路整備の検討に繋げる分析をしました。

分析結果を踏まえ、意見交換をしたところ、歩いて楽しい街づくりに向けた駅周辺の通過車両削減の重要性が改めて認識され、データによる検証が人的調査では捉えきれなかった交通実態の把握に貢献すると評価されました。渋谷未来デザイン代表理事からは、抜け道の通過交通と地域内交通の判別や、主要道路の代替ルートとなっている可能性のある道路の抽出といった、より詳細な分析の提案がありました。また、駐車場のヒートマップによる駐車実態の可視化や、急ブレーキ・急加速データの安全対策への活用可能性も議論され、データに基づいた効率的な都市計画と交通管理への期待が示されました.。

クロストーク「トラフィックデータの大山街道整備への活用について」

これらの市街地・商業地モデルの分析や意見効果を踏まえ、これらの知見を活かし、より行政との連携を深めるために、大規模再開発が実施される大山街道で可視化・分析をすればどうなるのか?のクロストークを実施しました。

多様なデータを活用した都市課題解決への強い期待感と、関係者間の連携をさらに深め、具体的な成果に繋げていくことへの意欲が感じられる場となりました
データ活用における課題として、特に歩行者に関する詳細なデータや歩道の情報が不足している点が指摘されました。これらのデータは、歩行者の安全性向上やウォーカブルな街づくりを推進する上で不可欠であり、データの整備やオープンデータ化への要望が出ました。
マイクロモビリティについては、ウォーカブルな街の構成要素の一つとして捉えられつつも、歩道走行の可能性や適切な駐輪スペースの確保などが議論の対象となりました。
ウォーカブルな街の実現度合いをどのように評価するかという点については、単に歩行者の数が増えるだけでなく、適切な密度で快適に歩ける空間の創出が重要であるとの認識が共有され、滞在時間や歩行速度などを指標とする可能性が議論されました。
また、駐車場の利用状況をヒートマップで可視化した結果を踏まえ、方面別駐車場の効果検証や新たな駐車場の整備計画へのデータ活用が期待されました。急ブレーキや急加速のデータは、安全運転の啓発や交通事故対策への応用が検討できるという話にもなりました。

区議会からのフィードバック

都市データ勉強会には、渋谷区交通・公有地問題特別委員会委員長 橋本 侑樹議員も参加され、フィードバックをいただきました。 渋谷区との連携については、これまでもデータ分析の結果を区議会に報告し、意見交換を行うなど、積極的な協力体制が築かれている中今後は、区民モニター制度を活用し、実際の生活者の移動データを収集・分析することで、よりきめ細やかな課題把握や施策検討に繋げたいという提案をいただきました。