渋谷未来デザイン(以下FDS)と一般社団法人SWiTCHが中心となり、渋谷の産官学が脱炭素社会についてさまざまな議論を重ねてきた「Carbon Neutral Urban Design(CNUD)」。
今回は「広報ブランディング」をテーマに、東急不動産ホールディングス株式会社共催の元、企業のサステナビリティ活動をステークホルダーにいかに認知・理解・共感してもらうか、最終的に生活者の方々に選んでもらえるブランドとなるにはどうしたらよいか、についてセッションしました。
<SPEAKER>
眞明大介
(東急不動産株式会社 コーポレートコミュニケーション部 ブランドマネジメントグループ グループリーダー)
越野多門
(サントリーホールディングス株式会社 サステナビリティ経営推進本部 (情報戦略)情報発信・啓発グループ)
佐座槙苗
(一般社団法人SWiTCH 代表理事)
冒頭の挨拶で、東急不動産ホールディングス株式会社の松本さんから、「企業がサステナブルな取り組みをすることは当たり前になった今、顧客やステークホルダーにどのように発信していくかを皆様と一緒に考えるきっかけにしたい」と今回のMEETUP開催の目的が伝えられました。また、今回の会場のTENOHA代官山について紹介し、施設の建築や生物多様性、食品ロスからの再生エネルギー活用等、TENOHA代官山がサステナビリティの発信拠点になることを紹介しました。
第1部では、サントリーホールディングス株式会社(以下、サントリー)の越野さんと東急不動産株式会社(以下、東急不動産)の眞明さんが各社の取り組み事例を紹介しました。
サントリーは、「企業理念(パーパス)」に基づき、文化・社会貢献を通じてサステナビリティを推進していることを伝え、今回のイベントでは、「水」と「容器・包装」に関する取り組みを紹介。全国各地で展開している森林保全活動「サントリー 天然水の森」やペットボトルの水平リサイクルを進めるほか、企業広告を通じて環境意識の啓発にも取り組んでいることを、事例を交えて紹介しました。
東急不動産ホールディングスグループは「環境経営」を掲げ、中核企業である東急不動産では「環境に、全力TOKYU FUDOSAN」のキャッチコピーでTVCMを展開、環境に資する多様な取り組みを広くPRしています。また、環境取組みの中でも生物多様性保全の活動を分かりやすく伝えた事例として、表参道にある商業施設、東急プラザ表参道「オモカド」の屋上庭園「おもはらの森」に設置され、今年営巣に至ったシジュウカラの巣箱をPRにつなげ話題になった「いきもの東急不動産」の取組みを紹介広告やSNSを上手く活用し、生活者に広く環境活動への共感を広げる工夫について話しました。
第2部のトークセッションでは、環境ブランディングの「成功事例と課題」、「普及させるためのアクション」についてお話を頂きました。
「成功事例と課題」のパートでは、サントリーが環境ブランディングで実績を積み上げ、それを分かりやすく伝えることを重要視している事を共有しました。次世代を担う若い世代への訴求を目指し、YouTuberとコラボレーションした動画を配信したり、専用サイトで学びの場を設けて消費者との新たなコミュニケーションを深めたりしていることを報告しました。
一方、東急不動産も以前YouTubeを活用した際に、「企業が伝えたい内容」と「視聴者が見たい内容」のギャップに気づいたと言及。「シジュウカラ邸宅」のPRではSNSでの発信を通じて想像以上の多様な反応を得たことを伝える他、多くの共感を生むような仕掛けも事例を交えて紹介しました。
「普及させるためのアクション」のパートでは、東急不動産が、渋谷を拠点に多様なステークホルダーを巻き込み、誰もが参加しやすい柔軟な事業づくりを進めていること、。気軽に参加できるプロジェクトを通じ、多くの企業や生活者を巻き込む仕組みの重要性を共有しました。
一方、サントリーは、サステナビリティを企業文化として根付かせるため、社内全体への浸透が重要だと認識し、経営層からの発信や研修・勉強会を通じて進めていることを報告しました。最近では社員の理解が深まってきているが、より自分事として捉えられるよう工夫していることも伝えました。東急不動産でも、社内のサステナビリティの浸透を重視しており、環境への取り組みが経営と一体となり、社員の意識が変化し、ビジネスにも良い影響を与えていると感じていることを共有しました。
第3部は、対話形式の質疑応答を行い、会場に参加している方々の悩みを共有したり、登壇者から参加者に質問を投げかけました。
今後もCNUDを通じて、先進事例の共有や企業間の横の連携を推進し、渋谷から日本全国へとメッセージを発信する重要性を改めて感じられた初回のCNUD 環境ブランドMEET UPとなりました。