9月3日(土)に開催された「TOKYOもしもフェス渋谷2023」では、女性が日々直面する女性特有の健康課題への認知を拡大し、解決のための行動を促進するプロジェクト「Women’s Wellness Action from Shibuya」によるトークセッション『WWAsと考える「今私たちにできること~災害時でもウェルビーイングにいるために~」』が行われました。
同セッションにはワールウィンドの河本伸明さん、CGOドットコムのバブリーさん、渋谷未来デザインの長田が登壇。災害時でも心身ともにウェルビーイングにいるためにできることについての意見が交わされました。
WWAsと考える「今私たちにできること~災害時でもウェルビーイングにいるために~」
2023年9月3日(日)14:25~14:55
<登壇>
河本伸明(株式会社ワールウィンド代表取締役)
バブリー(合同会社CGOドットコム)
長田新子(一般社団法人渋谷未来デザイン事務局長)
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災害時に求められるのは令和時代のギャルマインド? アグレッシブな行動が災害時でもウェルビーイングでいるためのヒント
トークセッションでは、まず自分たちの防災に対する意識が語られました。
河本さんは、東日本大震災発生当時、被害が大きかった福島に仕事で滞在していた経験を振り返り、「当時は災害に対する準備だったり、心得だったりはもちろんなかった。またそういった時の連絡網も今のように整備されていなかったことは本当に問題だと思った。特に家族と連絡が取れなかったことで災害が発生した時に連絡が取れるように準備しておくことは重要だと思う」と述べました。
また、災害はどんな時でも起こり得るからこそ、その時に備えておく必要があるという認識を示した河本さんは、こう語りました。
「災害は自分の生活の中では起こらないかもと思いがちだけど、実際に起こることもある。そして、起こるにしても、例えば、神戸の時と福島の時、そして、現在とでは全く環境が違う。だからこそ、防災意識として、本当に今、災害が起こったらどういうことになるんだろうなと予測することが重要だ」
一方、バブリーさんは、自分自身は大規模な災害に見舞われた経験はないものの、最近自分にとって身近なところで起きた火事について振り返りました。
「自分の会社のオフィスが入った渋谷のビルで火災が起きたとき、サイレンが鳴っても誰も逃げようとせずに平然と仕事を続けていた。だから、自分が率先して『逃げるぞ!』と声をかけたが、こういうとき人は意外と動けないということがわかった。被災する経験があまりないからこそ『どうせ大したことない』と思ってしまうのかもしれない」
それを受けて、河本さんも「東日本大震災時もあそこまで大規模な災害だと最初は思わなかった。そのことを踏まえて考えると、災害が起きたときは、自分が思っている以上に規模が大きいのかもしれないと考えておく方がよいのかもしれない」と述べました。また、バブリーさんは、「普段から自宅に防災バックと簡易トイレを用意しておくことが自分でできる災害対策のひとつになる」と述べました。
トークセッションでは災害が起きた時に自分ができる支援についても意見交換が行われました。福島で支援を行った河本さんは、その時の経験を振り返り、“楽しいこと”を備えておく必要性を説きます。
「避難生活時は、ずっと同じ環境で過ごしていることもあって、これがずっと続くのかなという不安があるからこそ、何か楽しいことが必要になる。そう考えて、福島の時は現地でBMXのパフォーマンスを行ないました。また熊本地震の時は、自分の好きなけん玉の遊び方を皆さんに教えて、その後もそこでけん玉で遊べる環境づくりを仲間にお願いしてやってもらった。そういった、他人とシェアできる楽しみを被災時の備えとして、今から用意しておく必要があります」
今年、福島を視察したというバブリーさんは、自分が現地とつながりがないことを理由に現地の支援から遠ざかってはいけないとの認識を示し、「まだ現地の方はそこで頑張っておられるので、今後も継続的な支援は必要。エンターテイメントという文脈で何ができるかはわからないけど自分にできることをやっていきたい」と述べました。
また、福島産のけやきを使って作ったけん玉を自分たちが使うことで、震災をきっかけに風評被害を受けた福島の木材の安全性をアピールする活動にも取り組んでいるという河本さんは、今後もそういった発信を続けていくことが大事だといいます。それに同意するバブリーさんも「現地とのつながりを作って、それを他の場所に届けていく役割も被災地の支援になる」と述べました。
さらに女性のウェルネスの話が及ぶと河本さんは、これまでも自分はパートナーを支援してきたと述べつつも、「これから50代、60代になった時にどういった変化がパートナーの身体に起きるのか、そしてサポートする側としてはどういった心持ちでいるべきかについて、知っておきたい」と語りました。
一方、バブリーさんは、女性としての立場から、異性に理解してほしいこととして、「月経時に女性は気分が変わること」を挙げ、そういった時の向き合い方として、自分の会社での取り組みを例に次のように述べました。
「自分の会社のメンバーは全員がギャルなので強い波がある。だからこそ、それに合わせて一緒に仕事するなど、まずは話合うことがすごく大事だと思っている」
トークセッションでは、男性である河本さんとギャルマインドを持つバブリーさんの2人が、今後一緒にできる取り組みの可能性についてもトーク。
「日本の女性が自らアグレッシブに行動することはすごく大事。それを自分たち男性もサポートしていけたら」と河本さん。
またバブリーさんは「サポートしてもらうよりも男性と一緒にやっていきたいと思う。令和においてギャルは本当にジェンダーレス。だからこそ、みんながアグレッシブに動けるギャルマインドをもってほしい。そうすれば、災害が起きた時も大きな声で非難を扇動できるなど、リーダーになれるはず」と述べました。それを受けて、長田も「男性・女性の両方からそういったマインドを持つ人がでてきてほしい」と述べました。
最後に今回のトークセッションを振り返り、「けん玉など他人と楽しみを提供したり、シェアできるものを用意しておけば、非難時にも誰かとコミュニケーションが取れる。そういった準備を普段からしておくことが災害対策としてすごく大切だ」と河本さん。バブリーさんは、「どんな災害が起きたとしても、自分軸、直感、ポジティブというギャルマインドをジェンダーに関係なく持ち続けてほしい」と語りました。
災害はいつでも誰にでも起こりうる。だからこそ、災害時でもウェルビーイングでいられるように自分なりに災害が起きた時に何ができるかを考えておく必要がある。そのようなことを改めて実感できるトークセッションでした。