10月8日(土)に東急プラザ渋谷にて、「女性の健康が世界を変える」をスローガンに、女性が日々直面する女性特有の健康課題への認知を拡大し、解決のための行動を促進するプロジェクト「Women’s Wellness Action from Shibuya」が、すべての女性がWell-beingに自分らしい人生を自分で選択するために活動するI LADY.とLife Tuning Daysとコラボレーションしたイベント「CHOICE FES SHIBUYA」を開催しました。
同日、行われたGIRL meets “FTM” ~Women’s Wellness Action from Shibuya トークセッション~にh、Air Hug合同会社の鈴木美紀さん、Popteenレギュラーモデルの辻加純さん、国際協力NGOジョイセフの櫻井彩乃さん、そして、YouTuberのミュータントウェーブが登壇。同セッションでは、ミュータントウェーブのおーちゃんが司会の下、「FTMってなに?〜男になった「もと女子」事情〜」というテーマでトークが繰り広げられました。
トークセッションではまず最初に今回のトークテーマにも出てくる”FTM”という用語について、ミュータントウェーブのメンバーが、同セッションのテーマである”FTM”について、「FTMとは”Femele to Male”の頭文字であり、女性から男性に戸籍を変更した、LGBTQ+の”T”であるトランスジェンダー”のひとつである」と説明しました。
戸籍を変更する以前は、なでしこリーグで活躍した元サッカー選手だったというミュータントウェーブのあさひさんは、その視点から「女性として生理を経験したからこそ、男性になって良かったこと」について、こう語ります。「パートナーの体調面の理解は自分が経験してきたからこそ、一般的な男性より理解がある」と。また、「生理の時はホルモンのバランスでパートナーがめちゃくちゃ食べることはよくわかる」とまささん。続いて、おーちゃんは「女性は生理の時にイライラしがちなので、パートナーの生理をアプリで把握して、喧嘩をさけるようにしている」と述べました。
一方、女性視点での意見として、現在、16歳でモデルやヒーローショーにも出演している辻さんは、「生理について理解してくれる男性が増えてほしい」と発言。それを受けて、おーちゃんはこう語ります。「最近の10代の男性の中で生理に対する理解が進んでいる。パートナーが生理になったとき、何もしてあげられないのはダサいと考える人も増えてきた」と。また国際協力NGOジョイセフのメンバーで、女性が自分の人生を選べるをテーマに活動する「I Lady」のディレクターを務める櫻井さんも「I Ladyの活動でもパートナーの気持ちを理解するために、生理用品をつけてみようという男子大学生に出会ったことがある」と自身の経験から意見を述べました。
生理とアスリート、モデルとの関係というテーマでは、「試合の時はやっぱり生理がつらい。何時間も走るので、たまに生理用品が落ちることも…」、「選手仲間の中にはピルを飲んでいる人もいた」とミュータントウェーブのメンバーが女子サッカー選手として活動していた経験を元に語ると、まだピルを使ったことがないという辻さんは初めてピルを使うタイミングについて、質問します。それに対して、櫻井さんは「10代だからといって使ってはいけないということはない。病院で相談することはハードルが高い面もあるが、ピルにも保険は適用される場合もあるし、ピルを使いたいことを怒られることはないし、最近ではアプリ経由で処方してくれるところもあるので必要な場合はまずは専門機関に相談するといい」と答えました。
次に「もし街中で生理で血が漏れていることを伝えられたら?」というテーマでは、「恥ずかしいけど女性にだったら伝えてもらった方がいい」という意見が出る一方で、あさひさんは「男性はダメで女性だったらいいというのもどうなのかと思う。それがあたりまえになっているから言いにくい」と自身の考えを示しました。それに同意するおーちゃんも”ジェンダー教育やっているから思うことだが”と前置きした上で「大人が変わっていかないと子供に伝わらない」との意見を述べました。また登壇者全員が生理はどこかタブー視されているので、その見方を変えていべきという認識を示しました。
その後、話題は現在、それぞれが取り組む活動の話に。鈴木さんは、「この日本においてもナプキンを買えない女性がいるという話を聞いた時に最初は配布することを考えた。ただ、配布して自己満足で終わるのではなく、ナプキンの作り方を知っていればお金がなくて買えない人でもナプキンに困らないと考えたことがきっかけ」と今年、事業として布ナプキンの取扱いを始めた理由を述べました。続いて、家族が芸能関係の仕事に関わっていたことで芸能活動を始めたという辻さんは「最初は良い意味で流されて始めた芸能の仕事だが、今は続けるという選択肢を選んだ。子供達を笑顔にしたり、震災で被災したことで元気がなくなっている方に笑顔や夢を届けようと思ってヒーローショーの仕事を始めた。だから今は自分たちが発信することで元気になってくれる人がいるなら続けていきたいという気持ちでやらせてもらっている。それとこの仕事は出会いがすごく多く、そこから色々と学ぶことも多いのですごくやりがいを感じている」と語ります。またPopteenの”ギャル”モデルというスタンスで活動することを選択肢したという辻さんに対して、おーちゃんがその理由を尋ねると「ギャルは派手なイメージがあって、普通の子が手が出しづらい印象がある。でも、そういうイメージを自分が変えていきたい」と答えました。
一方、辻さんが語った”出会い”の話を受けて、「ジョイセフに出会ったのは7年前の学生時代。すごく素敵な活動をしているから自分も働きたいと思った。でも、新卒では働く機会を得られなかったので、一般企業で働き、社会人としての実力をつけた上で、ジョイセフで働くことを考え、今はそれが実現して職員として働いている」と櫻井さんも現在の活動を選択した理由を語ります。
またミュータントウェーブとしての活動を始めた理由について、おーちゃんは「自分たちがトランスジェンダーとして生きているが、世の中で活躍するタレントさんの中には自分のセクシャリティをオープンにできない人もいると思った。またそういった声を上げようとすると、ネガティブに捉えられることもあるが、自分たちがいたサッカー界はすごくジェンダーに寛容な面がある。そういった環境で育ってきたからこそ、自分の性自認についてもすごくポジティブになれたので、自分たちが活動することでそういった部分で声を上げたいと思った。また他人との違いに気づくきっかけにもなれる」と述べました。続いて、あさひさんは「サラリーマン時代は埋没している状態だった。あえて自分のことを語らないけど、過去の話をすると必ず女性だった時期の話がある。でもそれをひた隠しにしている自分がいることに違和感を持った」と言います。その上で自分ができることを考えた時に自分が自分であることを受けれいれているからこそ、「世の中はもっと多様性に満ちているということをYouTuberとして表現できると思った」と自身の活動の原点を明かしました。またまささんは「活動をはじめてから他人に言われる”ありがとう”が最高の言葉だと思うようになった。自分のためだけじゃなく誰かのためにやることで今後の優しい社会が実現する」と述べました。
トークセッションの最後には話を聞いていた観覧者からの「女性は生理があるからできる仕事に限界があると言われるが、そう言われることに対してどう思うか?」という質問も。それに対して、おーちゃんは「今はそれが理由になる時代じゃない。男性女性問わず、みんなでインクルージョンしていけばより良い社会が実現する」と述べました。
このように今回のトークセッションでは、10代から40代の女性視点、そして、もと女子であるFTM視点からも女性の生理を通じて今後の社会のあるべき姿が語られました。今回、登壇者が語ったさまざまな意見が広く浸透していくことで全ての女性がありのまま、健康に生き生きと暮らしていける包括的で多様性のある社会が実現するのではないでしょうか?
「GIRL meets “FTM” ~Women’s Wellness Action from Shibuya トークセッション~
FTMってなに?〜男になった「もと女子」事情〜」
日時:日時:2022年10月8日(土)15:45~16:30
場所:東急プラザ渋谷4階 レストスペース
登壇者:
鈴木美紀(Air Hug合同会社)
辻加純(Popteenレギュラーモデル)
ミュータントウェーブ(YouTuber)
櫻井彩乃(国際協力NGOジョイセフ)