2026年5月27日、Co-Creation Academy第5回を開催しました。今回のテーマは「行政課題を起点とした共創設計」。行政・企業・市民がそれぞれの立場や役割を理解しながら、社会課題の解決に向けてどのような共創の形を描けるのかを学びました。
講師には、渋谷未来デザイン 業務執行理事・事務局参事の松本賢司と、事務局次長で渋谷区職員の小林翔太が登壇。また、前渋谷区議会議員の中村たけし氏をオブザーバーに迎え、議員の役割や行政との関わり方について実践的な視点からお話しいただきました。
渋谷区の現状と未来像を知る
前半では、松本より「渋谷区の現状と未来像」をテーマに講義を実施しました。
渋谷区は人口約23万人、昼夜間人口比率226%という特性を持ち、多様な人々が集う国際都市です。一方で、路上飲酒や路上喫煙、ポイ捨て、落書きなど、大規模ターミナル駅を抱える都市ならではの課題も抱えています。また、渋谷区が掲げる基本構想では、「成熟した国際都市」の実現を目指し、「ダイバーシティ&インクルージョン」「共助」「サステナビリティ」を重要な価値観として位置付けています。
参加者は、行政課題を単なる社会問題として捉えるのではなく、「なぜその課題が生まれているのか」「行政はどのような未来を目指しているのか」という背景から理解を深めました。
行政の“トリセツ”を学ぶ
続いて小林より、「行政の取扱説明書(トリセツ)」をテーマに、行政組織の意思決定プロセスや職員の思考・行動特性について解説しました。
行政には予算編成や議会対応など年間を通じたサイクルがあり、その時々で求められる情報や判断材料が異なります。また、行政職員は説明責任や公平性を重視するため、前例や他自治体の事例、客観的なエビデンスが重要な判断材料になります。民間から見ると「なかなか返事が来ない」「検討しますと言われたまま進まない」と感じる場面もありますが、その背景には行政特有の事情や意思決定のプロセスが存在します。
前渋谷区議会議員の中村たけし氏からは、「行政を動かそうとするのではなく、行政が動ける条件を理解することが大切。わからないことがあれば、気軽に議員に相談してほしい」とアドバイスをいただきました。
参加者からは、「行政側の考え方を知ることで、提案の仕方が変わりそう」「共創のためには相手の立場を理解することが重要だと実感した」といった声が聞かれました。
自分ごとの違和感を社会課題へ
後半はワークショップを実施。
参加者はまず、自身の生活や仕事の中で感じている違和感や課題を書き出し、それを「個人」「企業」「行政」「社会」の4つの視点で整理しました。その上で、制度・技術・仕組み・連携という観点から、行政と「一緒に動ける形」に落とし込む共創プロジェクトの設計に挑戦しました。
身近な困りごとを起点にしながらも、個人の課題を社会全体の課題へと拡張し、多様なステークホルダーが関わる実装可能な仕組みへと発展させるプロセスを体験。各グループで活発な議論が行われました。
今回の講座では、課題解決のアイデアを考えるだけでなく、行政の視点や仕組みを理解した上で「実現可能な共創」を設計することの重要性を学びました。次回からは固定チームによるプロジェクト設計フェーズがスタートします。今回持ち帰った課題意識をもとに、参加者それぞれがテーマを持ち寄り、実装を見据えた共創プロジェクトづくりに挑戦していきます。
Co-Creation Academyはこれからも、渋谷から新たな共創の実践者を育み、未来の社会実装につながる挑戦を後押ししていきます。

