飲食や不動産、人材紹介など、6社12事業を展開するFiLL’sホールディングス株式会社。CEOの湯浅晃平さんは、自身もアーティストとして活動した経験から「表現者が経済的に自立し、夢を諦めなくていい仕組み」を作りたいという熱い想いを抱いています。2025年2月、渋谷センター街に誕生した「SHIBUYA XXI(シブヤ・エックスエックスアイ)」を軸に、企業と若者が手を取り合う共創の形について、湯浅さんにお話を伺いました。
FiLL’sホールディングス株式会社
https://www.fills-entertainment.jp
SHIBUYA XXI
https://shibuya-xxi.jp
全国で6社12事業 アーティストの夢を支える事業を複数展開

── 湯浅さんは現在、6社12事業と多角的な経営をされています。その原動力はどこにあるのでしょうか。
アーティストマネジメントや音楽スクール、ライブハウス運営、さらには飲食、人材紹介、不動産と、一見すると統一感がないように思われるかもしれません。「何の会社をしている人なの?」と聞かれると答えに迷うこともあるのですが、私の中では、すべての事業が一本の太い線でつながっています。
── すべての事業に共通する「想い」があるのですね。
はい、その通りです。もともと私自身がミュージシャンとして活動していた時期があり、その中で、才能のある仲間たちが経済的な理由で夢を諦めていく姿を数多く見てきました。それがとても悔しく、悲しかったのです。
だからこそ、表現者が飲食店などの現場で安定した収入を得ながら、自分の活動も大切にできる環境を整えたいと考えました。不動産や人材紹介も、その理想を実現するための基盤づくりです。
── 活動拠点も全国に展開されていますが、意図的にエリアを広げていらっしゃるのでしょうか。
無理に全国へ広げようという考えは、あまりないんです。ご縁やきっかけに恵まれた結果、現在は仙台や鹿児島に店舗や拠点があります。会社として全国展開そのものを目的にしているわけではなく、一つひとつのご縁を大切にしながら、自然な流れの中で拠点が集まってきたという感覚ですね。
「縁」を大切にし、渋谷の一等地でライブハウス&イベントスペースをオープン

── その中で2025年2月、渋谷センター街の同じビル内に、ライブハウス「渋谷FOWS」(地下1階)とイベントスペース「SHIBUYA XXI」(1階)をオープンしました。ここに至るまでの物件探しは、相当な苦労があったそうですね。
そうなんです。もともと「今のライブハウス業界が抱える課題を解決したい」という強い問題意識があり、いつか必ず自分たちが育ててきた音楽コミュニティのための拠点を持ちたいと考えていました。
ただ、正直に言えば、最初は渋谷を候補から外していたんです。家賃の負担が大きいので、これから成長していこうという僕らのチームには、あまりに敷居が高い場所だと感じていました。そのため、2年近く下北沢や高円寺、吉祥寺などの自分たちの身の丈に合い、かつカルチャーの匂いがする街に絞って必死に物件を探し続けていました。
── それでも、この場所に決まったのは不思議な「縁」があったそうですね。
はい。なかなか物件が見つからずにいたとき、たまたま現在の物件が見つかりました。内見でお会いしたオーナー様が本当に素敵で、「街の雰囲気を壊さない、文化を大切にしてくれる人に貸したい」という強い想いをお持ちでした。
そこで、僕が抱いている「表現者を支える場所を作りたい」という夢をお伝えしたところ、深く共感してくださいました。本来なら手の届かないような一等地ですが、オーナー様の優しさに背中を押され、ここでの挑戦を決意したんです。当初は地下のライブハウスだけの予定でしたが、オーナー様から「1階も借りないか?」と言っていただけたときは「よし、やるぞ!」と気合いが入ったのを覚えています。

── 「SHIBUYA XXI」では、具体的にどのような活動ができるのでしょうか。
このスペースは設備が充実している点が大きな特徴です。スタンディングで約80名を収容することができ、カフェ&バーとしても十分使えます。また、店内中央には150インチの高精細LEDビジョンがあり、アコースティックライブやDJプレイに対応する音響設備や照明機材、配信環境も用意しています。
そのためオープンからの1年間は、あえて空間の役割を限定せずに運営してきました。議論を重ねる中で、訪れる方々の熱量や反応を大切にしながら、この場所にふさわしい在り方を見極めたいと考えたからです。さまざまな活用方法を試してきた結果、現在はスポーツ観戦や番組の公開収録、クリエイターの展示、企業のポップアップストアなど、多様な企画に対応しています。
── 渋谷で事業を展開する中で、一般社団法人渋谷未来デザインに加入された経緯をお聞かせください。
渋谷で事業を続けていく以上、この街を深く理解し、大切にされている方々とのつながりが欠かせないと考えたことがきっかけです。「郷に入れば郷に従え」ですね。一般社団法人渋谷未来デザインではジェネラルプロデューサーを務める金山淳吾さんをはじめ、魅力的で個性あふれる方々が多く集まっており、日々大きな刺激をいただいています。
一方で、渋谷には長年の実績を重ねてこられた企業の皆様と、私たちのようにこれから成長を目指す次世代の挑戦者との間に、わずかながら距離を感じる場面もあります。私たちがその中間に立ち、双方をつなぐ役割を担うことで、この「溝」を埋めていけたらと考えています。
「SHIBUYA XXI」で会員企業との交流を期待 「対話する場にできたら」

── 今後、渋谷未来デザインに対して期待していることや、具体的に取り組んでいきたいことはありますか。
私たちFiLL’sホールディングス側が、渋谷未来デザインの活動を深く理解するところから始めたいと考えています。その上で期待しているのは、現場レベルでの具体的な連携です。
ジェネラルプロデューサーの金山さんとは、よく「こんなことができたら面白いね」とアイデアを語り合うのですが、それをどう現実の形に落とし込むか、という点がこれからの課題です。実現には、「SHIBUYA XXI」の店長や責任者が渋谷未来デザインの皆様と直接コミュニケーションを取り、細部を詰めていく動きが欠かせません。こうした「アイデアを現実に変えるための橋渡し」を、一緒にお手伝いいただけると嬉しいですね。
── 渋谷未来デザインの会員企業の皆様と、積極的に取り組んでいきたいことはありますか。
まずは、「SHIBUYA XXI」を気軽にご活用いただければ嬉しく思います。この場所を拠点とするからこそ、同じ志や課題意識を持つ方々が自然に集い、率直に語り合える場を育てていきたいと考えています。
ここでの対話が新たな協働のきっかけとなり、具体的な取り組みへとつながっていく。そうした出会いを、会員企業の皆様とともに生み出していきたいですね。どうぞ気負わず、立ち寄るような感覚でお越しください。



