6月15日から7月15日までの1ヶ月、ストリートバスケットボールの聖地・代々木公園のバスケットボールコートを改修するためのクラウドファンディングが実施されています。
プロジェクトメンバーでもあり、渋谷未来デザインのプロデューサーでもある秋葉さんと、渋谷未来デザイン事務局長・長田さんの対談をお届けします。
代々木公園で先進的な事例をつくり、渋谷から全国へロールモデルを波及させていくビジョンなど、スポーツの視座だけに留まらない対話となりました——【ダイジェスト】
バスケコートへの愛を集めて自治を生む…
それを全国の公園バスケシーンに波及させたい
長田 今回のバスケコートの改修プロジェクトで、すごくいいなと思ってるのは——よく皆さん、そういうのって自治体が全部やってくれるものだと思うじゃないですか。でもこういう場所をみんなで一緒になってつくっていくことで、より愛着が生まれて、何かあったときには自分たちが支援するっていう継続的なつながりが強くなっていきますよね。そういう自分ゴト化するという意味で今回のクラファンはすごく意義がありますよね。
秋葉 そうですね。このコートは今でもバスケの聖地といわれているけど、でもただコートがあるだけじゃ聖地化されなかったと思っています。そこにコミュニティーがあったり、帰属意識が生まれたりとか、この場所を自治していくって話にならないと。
もう17年前になりますが、自分が手がけたプロジェクトでナイキさんからバスケのゴールを公園に寄贈してもらったことがありました。でもしばらくすると、とある公園ではゴールのボードはあるんだけどリングが外されていて。公園の管理者に理由を訊くと、ゴールを寄贈してもらって非常にありがたかったんだけど、若い人たちが公園に集まったらゴミや騒音の問題で地域からクレームが来ちゃって、やむなくリングを外しました、って。
だから、ただ場をつくって「はい、どうぞ」っていうだけだと、渋谷のハロウィンとかもそうかもしれないけど、<管理者>と<利用者>、あるいは<地域>と<来街者>みたいなかたちでバーサスになっていってしまうことがある。だからそこには帰属意識が大事なんですよね。自分にとって思い入れのある場所だったら——例えば昔お世話になったおじさんちの前でたばこポイ捨てするやつなんていないじゃないですか、きっと。それって良心の呵責の話なんで。その良心ってつまり帰属意識だよなと考えると、帰属意識が生まれれば自治が生まれるから、そのためにこのバスケコートに対する愛がある人をもっともっと増やしたいなと思って。その手段としてのクラウドファンディング、という一面もありますね。
あとは、単純にこの代々木公園のバスケコートを改修しますよって話だけだと、ここの利用者しかターゲットにならないけど、これが日本における公園バスケの最新事例で、全国の公園バスケのロールモデルになるといいなという面もあります。公園バスケが盛り上がる、イコール、日本のバスケがもっと強くなるんだっていう、代々木公園の利用者だけでなくいろんな人たちにも自分ゴト化してもらえるようなストーリーを含んでいます。
長田 でもそれって「渋谷未来デザイン」のミッションのあり方そのものですよね。どんなプロジェクトでも、渋谷という場所でひとつ事例をつくって、それがロールモデルとなってほかの地域にどんどん広がる、っていう。まさに我々が目指すかたちの典型だと思います。
代々木公園バスケコートのこれから
長田 クラウドファンディングから帰属意識を醸成していくとすると、その先の進化形は、今WEB3時代の文脈で言われている「DAO(ダオ、分散型自律組織)」に近づいていくと思うんですよね。クラファンの次に、このプロジェクトがそこまで行けるといいなと思っています。みんながこれを継続的に支援して、みんなの意見が反映される部分がありながら、みんなで価値を高めていく。そういうのって、どうですか?
秋葉 すごくいいと思います。渋谷っぽいしね。
長田 そう。みんなで投票権を持って。
秋葉 やりたいです。そういうテクノロジーとかがちゃんと入ってきて、ロールモデルをつくっていくっていうのは、まさにFDSの真骨頂っていう感じだとも思います。
<管理者>と<利用者>っていうバーサスの関係じゃなくて管理する側と利用する側が会話しながら一緒にコミュニティーを盛り上げていくような事例を渋谷から、代々木公園から、つくっていきたいですね。
——クラウドファンディングは既に最初の目標金額は達成していますが、このコートが改修されて一番大きく変わることどんなことですか?
続きは >>渋谷未来デザインのコラム連載『VOICE』でお読みください。