AI・IoT などの先進テクノロジーを活⽤した「イベント来場者属性・感情の⾒える化」を実施

プレスリリース

ストリートスポーツコンペNEXT GENERATIONSの来場者属性・感情を分析

一般社団法人渋谷未来デザイン(以下渋谷未来デザイン)は、2019年9月21~22日に実施されたU-15(中学生以下)を対象としたストリートスポーツコンペティション『NEXT GENERATIONS』の観客及び来場者の属性・感情の見える化を図るため、日本電気株式会社(以下NEC)の協力のもとデータ収集と分析を実施しました。この実験の結果、来場者数の時間帯別推移、時間帯別男女比、世代別来場者数、来場者数(通過者(その場を5分未満で通過した人)+滞留者)と観客数(その場に5分以上滞在した人)の数が明らかになり、また観客(滞留者)の観戦時間も明らかになりました。

閉鎖された会場ではなくオープンスペースで行われるイベントの多くは、来場者数をきちんと計測することは難しく、また観戦無料のイベントでは来場者の属性を把握するには、手動でカウントするなどマニュアルの手法に頼らざるを得ない状況でした。今回のようなオープンスペースで行われる観戦無料のスポーツコンペティションで、AI・IoTなど先進的なICT(情報通信技術)を活用した来場者の属性・感情の分析は、珍しいと言えるでしょう。

今回活用したNEC による4種類のデータ収集・分析ツールは下記の通りです。(図表1)

図表1:今回活⽤したデータ収集/分析ツール(出典:NEC)

  1. FieldAnalyst(フィールドアナリスト)
    カメラ映像を活用し、渋谷ストリームにやってくる人の「通過人数」を計測。合わせて顔データから「性別」「年齢構成」を推定。
  2. Wi-Fi パケットセンサー
    スマホ端末のWi-Fi信号を活用し、会場に何人いるか「観客数(滞留人数)」を推定。
  3. SNS分析ソリューション
    イベントに対する「観客の声」を見える化。SNSでの露出度と観客の生の声、関心度合いを分析。
  4. 感情分析ツール
    イベントに対する「観客の感情」を見える化。何を観戦している時に感情が高まり、何が心を動かすのかを分析。

※カメラやセンサーで取得したデータは収集・分析後に破棄しており、観客及び来場者個人を特定可能な方法で保存しないことで、プライバシーに配慮した仕組みを実現しています。

実験結果まとめ

各分析データを元にした来場者属性は下記の通りです。(図表2)

図表2:実験結果まとめ 出典:NECの分析結果を元に渋谷未来デザイン作成

来場者数 観客数 男女比 来場者の主な世代 5〜30分観戦
9月21日 4,517人 1,123人 6:5 30-40代 771人(約7割)
9月22日 4,693人 1,204人 6:5 30-40代 798人(約7割)

会場の渋谷ストリームの稲荷橋広場は、通路に立ち止まっての観戦が厳しく制限されるなど、観戦可能なエリアに限りがあったことなどを踏まえると、観戦可能なエリアの拡大による観客数や観戦時間の増加への可能性が見えてきました。(図表3)

図表3:来場者数と観客数の時間帯別推移

図表3:来場者数と観客数の時間帯別推移 9/22(⽇) 出典:NEC

また、10代や20代が多く集まるエリアで開催することで、SNS投稿数の増加など、観客が増加する循環サイクルが生まれる可能性も明らかになりました。

さらに、今回のコンペティションは中学生以下を対象としたもので、有名アスリートなどが出場する大会ではなかったにもかかわらず、1試合5分以内に終わる競技を5~30分観戦した人が7割と、かなり多くの来場者が足を止めて観戦したということも明らかになり、オープンスペースでのスポーツコンペティション開催の意義を改めて確認することができました。(図表4)

図表4:観戦時間(滞留時間の分析)

図表4:観戦時間(滞留時間の分析)9/22(日)出典:NEC

渋谷未来デザインでは、今後のNEXT GENERATIONSコンペティションの実施運営へ今回の実証成果を活かすのみならず、渋谷の未来のためのデータ利活用を推進し、ストリートスポーツの発展に向けた新たな価値の創造や新たな事業の創出へとつなげていきます。

NEXT GENERATIONSについて

ストリートスポーツ振興及びマナー向上の啓蒙を目的とし、渋谷区民含め若年層が積極的に参加できるストリートスポーツプロジェクト「NEXT GENERATIONS」は、一般社団法人渋谷未来デザインが中心となり、渋谷に所縁のある企業や団体と共に2018年に立ち上げました。U-15(中学生以下)を対象としたコンペティションや初心者を対象としたワークショップなどの企画運営の他、2020年はさらにプロジェクト領域を拡大して行く予定です。https://nextgenerations.jp/

メニュー