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2019.12.05
変えるコトと変えないコト。渋谷DJバーの現在「WHITE NIGHT WEEK SHIBUYA」【レポート⑦】

WHITE NIGHT WEEK SHIBUYA
DAY 3 – SESSION 1
「東京におけるDJバー・カルチャーの現在 by Resident Advisor」
日時:11月7日(木)19:00〜19:45
登壇:
加茂 誉満(東間屋)
市河原 章子(THE RUBYROOM)
成 浩一(bar bonobo)
植松 彬(OATH)
<モデレーター> 伊藤 大輔(株式会社カミナリ代表取締役)


渋谷のナイトタイムエコノミーや音楽カルチャー、コミュニティスペースを考えるときに、避けては通れないのがDJバーの存在。キャパシティも100人も入ればいっぱいの決して大きくないお店に、夜な夜な人が集まるのは、各店舗の個性によるところが大きいでしょう。

インバウンドが増えることが確実視される2020年を控え、渋谷を代表するDJバーの関係者4名が集まり、「東京におけるDJバー・カルチャー」の“現在地”を語りました。

モデレーターの伊藤さんがまず、お店の現状を各者に質問すると、共通して「インバウンドが増えてきた」という印象が語られます。

「多いときは8割くらいが海外のお客さんになります。でも、メリットだけではない。パーティ慣れをしている分、すごく盛り上がるんだけど、ドメスティックな面もあって、お皿やグラスが割れることはしょっちゅう。だから、国内のお客さんとのバランスが大事だと思っている。我々のような店に来る人は、『地元の人間が遊びにいくところを知りたい』という感覚のはずだから」(成さん)

「日本のDJバーは非常にクオリティが高く、個性が際立っている印象です。お酒も美味しいし、サウンドシステムにもこだわっているから音もいい。そういう点も評価されて、アンダーグラウンドに人が集まっている。また、小箱ならではのコミュニティスペースとしての価値もあると思います」(伊藤さん)

「SNSがある時代に人と人との接点が持ちにくい。小箱では、その場にいる人が音楽を通して共通項を見出したり、知り合ったり、アーティスト同士がコラボレーションしたりという機会が生まれます」(市河原さん)

「一方でどうしても身内ノリになってしまうきらいがあるので、初めて来たお客さんが入りやすいように努力しています」(加茂さん)

不特定多数の人が集まる場所は数あれど、DJバーの魅力は、人と人が出逢いコミュニケーションが生まれるだけではなく、程よい距離感にもあるのでしょう。特に親しいわけではないが、週末となるとあの場所で会う人がいる、そんな感覚を味わえるのはDJバーだけかもしれません。また最先端カルチャーの発信地としての役割もDJバーにはあります。今後、シーンの活性化のために必要なことはなんでしょうか?

「どんなアーティストも小箱からキャリアがスタートします。大箱からは始められない。そういった点では、お店の分母が増えていくとプレイできる場所が増えるので、日本人DJの底上げができる。日本はDJだけで生計を立てられる人が海外に比べると少ない。そういった活性化のために第三者を入れたミュージックバーアソシエーションを作れたらいい」(植松さん)

「DJにペイしたいですよね。もっと環境を良くしていきたい。東京の小箱同士は実はすごく仲が良い。横のつながりがあるので、全体で盛り上げていきたい」(成さん)

「クラブも同様ですが、ネガティブなことはニュースになりやすい。一方で楽しいことは一切ニュースにならないので、もっとカルチャーの発信力をあげていかないといけない」(市河原さん)

「2020年に向けて、英語のオペレーションやアナウンスのスキルをあげていかないといけない。英語のコミュニケーションが多くなるので、理解できないとトラブルになってしまう。自分たちからオペレーションを変える必要があります」(植松さん)

渋谷のDJバーの現在地点。一般的には排他的な印象を持たれるきらいもあるようですが、一切そんなことはありません。むしろ常にオープンで、実験的で、改善を心がけ、ちょっと怖いな、というイメージを持たれないようにお店側が雰囲気やルールをコントールしています。多くの魅力的なDJバーのみなさんは、2020年に向けても特別に気負うことなく、淡々と準備をしている、そんな印象を受けました。

改善はもちろんしていくが、店の最大の魅力である個性や軸はブレされない。それは今回登壇した4店舗に共通していることではないでしょうか。渋谷のDJバーの現在地。その後はぜひ現場でご確認ください。