オンラインからオフラインのコミュニケーションを生み出す「WHITE NIGHT WEEK SHIBUYA」【レポート③】

レポート
インターネット視点でのクラブカルチャー

WHITE NIGHT WEEK SHIBUYA

DAY 1 – SESSION 3
「インターネット視点でのクラブカルチャー」

日時:11月5日(火)21:00〜21:45
登壇:
Night Tempo(プロデューサー/DJ)
hype(DJ/オーガナイザー)
has(DJ/オーガナイザー/デザイナー)

「インターネット視点でのクラブカルチャー」をテーマにしたトークセッションでは、韓国出身の音楽プロデューサーで今年はフジロックにも出演したNight Tempoさん、DJ/オーガナイザーのhypeさん、hasさんが登壇。SoundCloudやYouTubeとクラブシーンとの関わりあい、SNSとクラブの関係、音楽の聴かれ方の変化とそれがクラブの現場に及ぼす影響について意見が交わされました。

インターネット視点でのクラブカルチャー

SoundCloudやYouTubeで発表されているブートレグ音源とクラブシーンとの関わりあいについて、「最近、若いDJを探しにクラブに行くと、ハウスやテクノだけでなく、アイドル、アニメ、フューチャーベースのDJがプレイ時にブートレグを使うことが増えてきた」と語ったのはhypeさん。

また元々はブートレグだった“フューチャーファンク”というジャンルの音楽プロデューサーのNight Tempoさんは「沢山の人に聴かせるというより、友人たちに聴かせるために音源をSoundCloudにアップし、それを所属するSNSのコミュニティでシェアしていた。ヴェイパーウェイヴ、フューチャーファンクの人気が広がっていく中で、オフラインの友人たちも増えていった」とかつての自分を振り返りました。

インターネット視点でのクラブカルチャー

またSNSとクラブの関係について、“DJ”としての自分のイメージを守るために「プライベートな面を出すのには気をつけている」と語ったのはhasさん。一方、「SNSでどうすればイベントの情報を知り合い以外に広げられるのか試行錯誤した。最近はInstagramのストーリーが一番見られるため、イベント開催を知ってもらうためという点では効果的」とhypeさんは語りました。

「自分の色、路線を守ることを意識している」と語ったNight Tempoさんは「SNS毎に投稿内容を使い分け、特にTwitterでは最近は自分がエディットした昭和歌謡を投稿することでファンに喜んでもらっている」と続けました。

その後、音楽の聴かれ方の変化とそれがクラブの現場に及ぼす影響について3人はトーク。続けてNight Tempoさんは、
「韓国では10年前くらいからストリーミングが主流だったが、今の韓国ではお金で再生数を買うことも多くなってきている。 それでも一般人はヒットチャートの順位毎に曲を聴いていくから寂しい。そういうことではなく、もっとクリエイターのモチベーションがあがるように支援する形になってほしい」とストリーミングサービスに対する要望を口にしました。
しかし、その一方で「今は、誰でも簡単に曲をアップできるようになり、自由に曲を発表できるようになった。そのためネットを通じて思ってもいない良いリアクションが得られるようにもなった」と、音楽の聴かれ方の変化について良い面を挙げました。

インターネット視点でのクラブカルチャー

さらにhasさんは「DJ、クリエイターからすると作った曲をネット経由で人に聴かせ、そのフィードバックをすぐに次の制作に活かせるのは大きい」、hypeさんは「SNSでみんなが曲のリンクをつけて投稿するからお客さんの好みが捕らえやすくなった。また音楽サブスクリプションサービスのおかげで曲を以前よりも沢山聴けるようになったため、お客さんの音楽に対する興味が大きくなったとも言える。そういう客側の好みを把握し、需要があるアーティストをイベントにブッキングできるようになったのはオーガナイザーとしては良いこと」と語りました。

セッションでは最後に「インターネット視点でのクラブカルチャーにおける、過去と現在の活動、これからのシーン」というテーマでトーク。Night Tempoさんは「“古いものをどうやって新しくして聴かせるのか?”をいつも考えている」と語り、「動画の上げ方、公開のタイミング、告知にしても自由な発想で展開していくことで普段クラブに来ない人を巻き込んでいける」との認識を示しました。またhasさんは「体感として渋谷には現在、音楽を聴く場となるカフェ、バー、ホテルが広がっている」と語り、そこに今後の可能性が潜んでいることを指摘しました。

インターネット視点でのクラブカルチャー