誰かに偶然出会い、はしごする素敵な夜の過ごし方「WHITE NIGHT WEEK SHIBUYA」【レポート②】

レポート
東京・渋谷の夜を遊び続ける

WHITE NIGHT WEEK SHIBUYA

DAY 1 – SESSION 2「東京・渋谷の夜を遊び続ける」

日時:11月5日(火)20:00〜20:45
登壇:
野村訓市(編集、デザイン業)*司会
YOSHIROTTEN(グラフィックアーティスト、アートディレクター)
人見太志(株式会社グローバル・ハーツ取締役/企画創造開発事業部 本部長)

編集、デザイナーの野村訓市さん、グラフィックアーティスト、アートディレクターのYOSHIROTTENさん、株式会社グローバル・ハーツで画創造開発事業部本部長を務める人見太志さんが登壇したトークセッションでは「東京・渋谷の夜を遊び続ける」をテーマに3人がそれぞれの意見を交わしました。

長年、渋谷が遊び場になっている野村さんは「渋谷は若い人たちがたくさん集まる街で、コロコロ変わっては、また新しいものが出てくるけど、(遊びに関して)卒業してしまう人が多い街でもある」と語り、YOSHIROTTENさんは「震災もあったから一時期は静かになったけれど、ここ1、2年は渋谷の週末は大変なことになっている。みんな爆発したいエネルギーがあるんだなと感じます」と続け、人見さんは「渋谷にいるとわかりますが、ここにいるとみんながやってくる。人と会いやすい場所なんだと思います」とそれぞれが持つ、渋谷のイメージをまず語られました。

その中で近年の渋谷を象徴する「ハロウィン」に話が及んだ際、「昔から渋谷で遊んでいるので、ここで何をしていたかを思い出そうとしたんですが、よく考えると何もしていなかったんですよ。去年から渋谷のハロウィンになると人が溜まっていますが、自分も昔はフードコートなどに溜まっていた」と語った野村さん。

今年で8年目を迎えた、渋谷のナイトクラブ『SOUND MUSEUM VISION』の運営ナイトクラブの運営に携わる人見さんは、「オープン当初を思い出すと、当時、クリエイターやDJの人たちがハロウィンパーティで仮装しだしたことから、だんだんと渋谷にハロウィンが浸透してきて、それがこの2、3年で大きくなったのではないかなと思いますね」と自らの見解を示しました。

また「最近の若者は昔に比べて酒を飲まないと言われているけど、それをどう思うか」という野村さんの問いに対し、人見さんは「若い人たちは確実に飲まなくなっていますね。最近だとラグビーワールドカップがあった際に、どの店にも海外のお客さんが入っていたんですが、若い人たちの代わりにインバウンドの人たちが増えて、お酒を飲んでいるような気がします」と答え、クラブへ入る前にコンビニエンスストアなどでお酒を購入して、外で飲んで店では飲まないという若者が増えていることに関して、「この間、渋谷のクラブ16軒が合同で回遊パーティを行ったんですが、その際に僕たちは街を掃除したんです。そこでわかったことは、酒の缶などのゴミが多いということ。日本には花見のような外で飲酒を楽しむ文化もあるので、そこはマナーを守りつつ、夜の良さを打ち出していきたい」と、渋谷の夜が抱える今後の課題のひとつについて語りました。

トークセッションではほかにも渋谷の夜を楽しむ方法として、ここ最近増えたという小さなDJバーといった営業形態にも言及。それについて「雑居ビルのような場所に小さな店がたくさんある。それが渋谷の良さなのかなと思います」と野村さんは語り、「大箱のクラブだけでなく、小さな店をはしごして回るのも夜の渋谷の遊び方ですね」とYOSHIROTTENさんが続けました。

そういった遊び方について、野村さんは近年良く訪れているというニューヨーク・ダウンタウンエリアでの遊びの経験を引き合いに出しながら、「誰かと待ち合わせをして、早めに帰ろうと思ったけど、楽しくなってそのまま遊んでしまったということはよくあります。それで店をはしごして、最後は気づいたら若い友達や、年上の先輩などと一緒になって大人数になっていたりする。そういった遊び方が渋谷では可能なんですよ。それとフラッとバーに行って、そこで意外な人や、面白い人に出会うこともあります」と、夜の遊びを通じて、人との出会いや、仕事の企画のアイデアが生まれてくるということも語りました。

そんな渋谷の夜に今後、必要なものについて、人見さんが「東京の夜に関して、カルチャー面ではまだまだ弱いのではないかと思います。例えば音楽でもいいですけど、今後、東京・渋谷から何かしらカルチャーを発信していけるようになったらいいなと思いますね」と語る一方、野村さんは「夜の街へは、『この辺の周りを回ってみようかな』と思わせる店がないと遊びには出かけない。短い時間でも居られる店があるとついつい行ってしまうので、そういった店が増えたらいいですね」と言及。

東京・渋谷の夜を遊び続ける

YOSHIROTTENさんは「自分はこのままでいい。渋谷へまだ行ったことがない人や、はしごをして遊ぶことをしたことがない人は、そういう過ごし方をしてみるのはどうだろう」とそれぞれが思う必要なものについて意見を出し合いました。

再開発が進み、以前の街並みが消えつつある渋谷に対して、野村さんは「開発するのはいいですけれど、雑居ビルは観光資源でもあるので壊さない方が良い」と、そういった場所を保護していることを提案。店の内装をプロデュースする機会が増えているYOSHIROTTENさんも「渋谷の街にはいい雰囲気の場所がまだ多く残っているので、そんな場所を遊び場に使えたらいいですよね」と語り、生まれも育ちも渋谷だという人見さんは「昔のものも残していけるようにしていけたらいいですね」と語った。そして、渋谷の夜の遊び方について、「今日話をしたかったことは、『はしご酒をする』ということですね(笑)」と野村さんが語り、トークセッションは終了した。