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2019.12.02
「WHITE NIGHT WEEK SHIBUYA」オープニングセッション【レポート】

開催日時:11月1日(金) 21時〜23時
場所:TSUTAYA O-EAST Bldg. 5F 特設会場
登壇:
金山淳吾(渋谷区観光協会 代表理事/一般社団法人渋谷未来デザイン 理事)
浅川真次(株式会社アーティマージュ代表取締役社長)
Zeebra(渋谷区観光大使ナイトアンバサダー)
臼杵杏希子(TEAL Inc.)
鎌田頼人(NEWSKOOL)
永谷亜矢子(an inc.)
村松 亮太郎(NAKED Inc.)


11月1日、TSUTAYA O-EAST Bldg. 5F 特設会場で「東京・渋谷から夜の経済振興・文化振興」をテーマにしたWHITE NIGHT WEEK SHIBUYAのオープニングセッションとして、ナイトライフに携わるプロデューサー、クリエイター、アーティストたち5名の有識者を迎えたトークセッションが行われました。

渋谷未来デザイン理事 金山の「渋谷といえばナイトカルチャーだが、ナイトタイムエコノミーとはどういった状態が健全なのかを学んでいきたい」という挨拶でスタートとしたこのセッション、まず「ナイトタイムエコノミーの中身は何か? 実際に国はどう考えているのか?」というテーマで議論。

登壇者の1人、永谷さんが理事を務める「ナイトタイムエコノミー推進協議会」のホームページにある「日本の夜はもったいない」というキャッチフレーズを引き合いに出し、“もったいなくない国におけるナイトタイムの立場”について意見交換がまず行われました。

オリンピック時にナイトタイムエコノミーの成功体験を持つロンドンや、夜の市長“ナイトメイヤー”という役職を設けているベルリン、アムステルダムのようなヨーロッパの都市の事例についてまずは触れ、永谷さんは「これまで日本では、地元の旅行会社、鉄道会社と組んでもコンテンツに予算が振れられないなど、継続性があまりなかった。どういったことでナイトタイムを活性化できるのか、そのコンテンツとプロモーションについて模索している最中」と口火を切ります。

また30年前の活気づいていた頃と現在の東京のナイトライフを比較し語る場面では、このような言及も。

「日本ではクラブに遊びに行くためのファッションが流行ることもあったし、昔は若者だけではなく、大人も夜をエネルギッシュに遊んでいた」(臼杵さん)

「昔も風営法はあったが、若者が楽しそうに遊んでいたから見逃されていたところもある。でも今は風営法が改正され、それを活かしてナイトタイムエコノミーとしての経済効果を生み出さないといけない。また、議論するだけでなく、具体的にどう実装すべきかを考えなければいけない時がきている」(浅川さん)

日本にはヨーロッパに比べて見るべき“夜の風景”がない、という問題に対し村松さんは「自分たちはクリエイターだから行動を起こすだけ。東京においては、行政、住民含め、みんながこの街の魅力に気づかないと変わらない」と語る一方で、そういったことを実現するためには現状、夜のコンテンツの制作には制作費より警備費の方がかかってしまうという現実的な問題点も指摘。

対して、「住民の苦情に行政、警察が対応しなければならないということが夜を楽しめなくしている理由のひとつなのかもしれない」と浅川さん。

そういった夜の風景について、「今の若者はインターネットを見て、自分の好きなもの、楽しめるものをピンポイントで見つけることができる。朝5時までクラブにいるより、他に楽しめるものもある」と語ったの登壇者の中では若い世代にあたる鎌田さん。「でも、その中で夜に楽しめるものを作っていくのが自分たちの仕事だと思う」。

若者のクラブ離れについてZeebraさんは「ブランドのレセプションのようなものが“パーティー”化する一方で、今のクラブにはその日のためだけのデコレーションがないなど、目新しさがなくなってきている」と指摘。

また、臼杵さんは「時代とともに変わっていってもいいし、今のライフスタイルにあわせてアイデアを出していくべき」と語りました。

その後、「パブリックスペースは夜に人を誘う魅力があると思う」という話をきっかけに、話題はナイトタイムエコノミーの“コンテンツ拡充”へ。

村松さんはヨーロッパと比較して規制が厳しい日本について、「素敵にしようと考えて実行しないと街が魅力にならない。街の機能面も大事だが、それだけでは無味無臭。文化的な匂いがしなければ街の魅力は発展しない」と語り、一同はその規制につながる法律についてもトーク。

「労働基準法にしても風営法にしても古い。その時代時代に見直す必要がある」(浅川さん)

さらにナイトタイムエコノミー推進には、訪日観光客の目的になっている日本独自のきめ細かいクリエイティヴさが反映された食文化のPRも必要だという認識を示したのは浅川さん。

寿司や和食を例に出しながら「外国人にできない日本の職人技は独自のクリエイティヴな部分」であるといい、「それは近年、海外で再評価される日本のシティ・ポップもそれに通じるところがある。80年代に生まれたシティ・ポップのきめ細やかさが今、訪日する外国人に受けており、そういったレコードを探して渋谷の街を周る外国人も少なくない。食でも音楽でもアートでもそのきめ細やかさが海外に認められており、そのプロモーション自体はできている。しかし、本当に日本人が食べて美味しいものが訪日観光客に知られているか?というとそうではなく、その部分のプロモーションはまだ足りない。ナイトタイムエコノミーを推進して行く上で、今後はその部分も課題になってくる」と今、海外に認められている日本の強みの部分を引き合いに出しながら、その上で「これからさらに何が必要なのか?」の部分についても触れました。

このように「すでにある文化資源をどのようにしてナイトタイムエコノミーに活かしていくのか? 」などについて意見が交わされる中、今後はナイトライフエコノミーの研究機関として「ナイトフェロー」を設置する必要性についても言及されました。

それについて「娯楽がナイトクラブ中心の海外におけるナイトメイヤーのようなものでは、日本の多様な夜の過ごし方に対して機能が十分でないのかもしれない、という思いもある」と永谷さんが語る一方で、「多様な日本の夜の文化に対応していくためには職種ごとにナイトフェローをおいて、議論の場を設けていくべき」とZeebraさん。

トークの最終盤には浅川さんがナイトフェロー準備委員会を発足しようと提案。それに対して金山は「意見を取りまとめて、来年からそのプロジェクトを進めていく」と、ナイトフェロー制度実現に向け、前向きな姿勢を示しました。