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2019.05.07
【ワークショップ】SCRAMBLE STADIUM SHIBUYA 第6回意見交換会 -代々木公園と地域の未来-《レポート》

来場者の皆さんが「賛成派」「反対派」に分かれ、それぞれの立場からスタジアム建設の是非を想像し語ってみるワークショップ。

『【ワークショップ】SCRAMBLE STADIUM SHIBUYA 第6回意見交換会 〜代々木公園と地域の未来〜』
2019/4/16(火)18:00〜20:00 @EDGEof

<進行>
金山淳吾(渋谷区観光協会 代表理事、渋谷未来デザイン プロジェクトデザイナー)
小泉秀樹(東京大学 先端科学技術研究センター 共創まちづくり分野 教授、渋谷未来デザイン 代表理事)

代々木公園エリアに、スポーツ・ エンターテインメントの聖地であり、また災害時には防災拠点としても機能する、3万人収容規模のスタジアムパークをつくる——「SCRAMBLE STADIUM SHIBUYA」と名付けられたこの構想について、見識者や住民、公園利用者の方々と、これまでも広く意見交換をする場を設けてきたこのプロジェクト。

第6回目のイベントとなる今回は、来場者の皆さんが「賛成派」「反対派」に分かれ、それぞれの立場からスタジアム建設の是非を想像し語ってみる《ワークショップ》が開かれました。

まずは渋谷未来デザイン プロジェクトデザイナーの金山から、当プロジェクトの是非に関してこれまでおこなってきたアンケートの結果をざっと紹介。
多くの方々から、このプロジェクトに賛同をいただいていることを報告しました。

しかしその上で、きちんと反対意見にも目を向けるべきでしょう。
金山は、

「賛成する人のなかにも不安な声や、反対する人のなかにも“ここにだけは気をつけてほしい”という具体的な意見があるのではないか」

と語り、渋谷未来デザイン 代表理事 小泉は、

「デメリットをあぶり出すのは、公共的なプロジェクトを進める上でとても大切なプロセス。思いっきりデメリットを考えてほしい」

と語りました。

今回のイベントは、登壇者たちの意見を聞くクロストーク形式ではなく、来場者のみなさんに積極的に参加し発言してもらうワークショップ形式。

来場者の方々には、事前にお持ちの個々のご意見には関わらず、着席したテーブルごとに「賛成派」と「反対派」に分かれていただき、スタジアムが作られることの賛否を考えていただく場となりました。

「スタジアムがあることのメリット・デメリット」
「スタジアムがないことのメリット・デメリット」
を論点に、それぞれの立場に立ってみて想像し、《討論》や《ディベート》というよりは、各々の立場から感じ得るメリット/デメリットを挙げてみる、という会を目指して進められました。

各テーブルで意見をまとめる時間は40分。
自己紹介から始まり、まずはそれぞれのテーブル内で意見が交わされます。

賛成派のテーブルはにこやかに、反対派のテーブルも、にこやかですが時に苦々しい表情も浮かべながら、真剣に議論する皆さんの姿が印象的でした。

自分が住む街、訪れる街の未来について考えるのは、今日の立場は賛成/反対どちらであれ、刺激的で楽しいものだったのではないでしょうか。

〜40分後〜

ここで各テーブルごとに2分ずつのプレゼンテーションの時間が設けられました。

<チーム①:賛成派>

日本には間違いなくまた大きな災害が来る、という見地から検討した。

災害時、例えば街を訪れている外国人の方々には行き場がない。そんな来街者たちが過ごせる場所として活用できるならば、スタジアムは必要。

また、渋谷にはサイネージがたくさんあるので、災害時にはそれらを連携させて、それらを使ってスタジアムへ人を誘導できる仕組みが作れると良い。

金山「災害時には街中のサイネージは強制的に被災者の誘導に使えるといった編成が組めるシステムを含めての、防災拠点としての機能をスタジアムが担うということですね」

<チーム②:賛成派>

賛成意見を出したくて話し合ったが、あらためて真剣に考えていくとなかなか難しかった。
そんななか、賛成しやすいのはやはり防災面だと思った。

また、経済面でもメリットがあり、スポーツ振興という意味でも現状なかなかないサイズのものが実現できると思うので、渋谷の文化づくりとその発信という面でも、スタジアムが良い役割を担えるのでは。

デメリットは、治安の問題。もともと比較的治安のいいエリアだが、そこに今まで以上に人が集まると、治安問題の懸念が出てくると思う。

金山「いま、渋谷区に住んでいるのは22万人ですが、街を訪れる人はその10倍くらいいます。
実は住民と来街者で、防災拠点は異なります。住民票を持っていない人は広域避難所に避難しなきゃいけない。でもそれが分かりにくいのが現状です。街のシンボルとなるような分かりやすい場所に避難させてあげる必要があるのではないかと思います」

<チーム③:反対派>

デメリットの1つめは、人が集まることでのデメリット。
街がこれまで以上に混雑し、地域に住んでいる人たちにとって迷惑になるのでは。

また、エンタメの拠点を作ることで、特定のファン、カルチャーを持った人たちが一度に集まることになる。するとそのほかの人たちが入りづらい、という状況が生まれる。

また、ゴミや騒音の問題も含んでいる。

2つめは、運営面の不安。財政的な意味で維持ができるのか。市民に負担をかけずに運営できるのかが課題ではないか。

また、せっかく作ったのに想定ほど稼働しない、という状況にはならないのか。週末はいいが、平日もきちんと“文化施設”として稼働できるのか、という心配もある。

また、スタジアムとして収容人数3万人という規模が適切かどうかの懸念も。

3つめは、近隣の環境問題。
雨が降ると水がたまりやすいという環境特性が、いまより悪化するようなつくりにならないか、心配。

4つめは、今あるものが無くなる心配。
フットサル、バスケ、ランニングといったスポーツや、『タイフェス』や『北海道フェア』といったイベントを毎年楽しみにしているお客さんなど、今代々木公園を使っている人たちにとっての心配は大きい。

また、代々木公園を毎日散歩に使っている人が今までどおり気持ちよく使えるのか、など地域の生活に根ざした心配がある。

小泉「おもしろいなと思ったのは、エンタメの拠点になった場合の、“特定の人の場所になると他の人を排除する”という視点。とても大事なことだと思いました」

<チーム④:反対派>

渋谷で働いている人の視点で考えてみた。

ひとつは、人が増えることでの懸念。
これ以上渋谷の街が混雑してゴミが増えたり、光や音が増えたり、地元の住民には迷惑かもしれないというデメリットがある。

もうひとつは、維持管理の面での懸念。
実際にスタジアムが建設されたあと、どれくらいの稼働をするのか、まだ事前に見えづらいという現状があるのではないか。

また、このプロジェクトにおいての、そもそもの理念、哲学について、あらためて考える必要がある。そもそもこれは誰のためのスタジアムなのか、もっと考えるべきなのでは。

区民にとって、エンタメやスポーツの拠点は今一番必要なものなの? ひょっとしたら待機児童の問題や福祉の問題など、解決すべき他のことに注力すべきなのかもしれない。

小泉「プロジェクトの原点に立ち返って、そもそもなぜスタジアム構想を進めようとしているんだっけ、というのをもっと説明する必要がありますね。プロジェクトが閉鎖的になってしまいがちというのは大きな課題だなと思いました」

金山「開かれた“オープンイノベーション”。言葉で掲げるのは簡単ですが、実際のアクションやアウトプットとしては具体的にどういうことなんだろうというのは、プロジェクトを進める上で見えなくなってしまいがち。こういったことはくどいぐらいにしつこく問い直し練り直していくべきものだと思いました。

<チーム⑤:賛成派>

スタジアムが、令和時代の新たなレガシーになるには……

60年代に丹下健三が設計した国立代々木競技場は、その後50年間、色褪せない魅力がある。新しいスタジアムもそうなってほしい。
また、現在の日本武道館のように、音楽アーティストのキャリアの頂点になるようなものになってほしい。

また、スタジアムには“ハブ“の機能を担ってほしい。世代間や、渋谷と地方、あるいは多様な人同士をつなぐハブ。

そして、地域の全小学校の合同運動会など、区民が優先して使える教育施設としての側面もあるといいと思う。

小泉「“区民目線”はとても大事なこと。区民のみなさんに楽しんでもらうには、こういった“スポーツと学びの掛け算”かもしれないし、そういった方面でも引き続き考えてみたいです」

<チーム⑥:反対派>

今まで公園を使ってきた人はどうなるんだろう? 地域に住んでいる人の今の気持ちはどうなんだろう? と考えてみた。 必要なことは、地域の方からの意見に耳を傾けることだと思う。

また、セキュリティは大丈夫か。地域への説明がもっと必要なのでは。

出来る限り、今公園を使っている人たちへの説明責任を果たしてほしい。

…と考えてみたが、本当はみんな賛成派なので、難しかった(笑)。

小泉「新しいものができることのメリットはいろいろあるが、今公園を使っている人や自然環境に与えるインパクトを一個一個洗い出して、ひとつずつ考えていく必要があります。それが大事という、すごく的を得たご意見だったと思います。

最後にまとめとして、金山と小泉によって、簡単なトークセッションが。

金山「今日、気を引き締め直したポイントは、“理念”のこと。
渋谷は文化的に豊かな街。これからの未来においてもそうであるためには、今あるアセットだけでは難しいのではないか? 既存施設の再開発だけで、文化施設の充実化が本当に出来るのか? そうした疑問から、“しかし代々木公園ならそれが解決出来るのではないか”と考え、立ち上げたこのプロジェクト。
《シビックプライド》というものが最初の理念の基軸だった。それをあらためて思い出し直しました。

理念のコアだけは大事にしたいが、皆さんの意見を取り入れながら、理念自体をアップデートしていかなきゃいけないな、というのが今日一番感じたことです」

小泉「いろんな方々に意見を聞かないと出てこないような意見がたくさん聞けて、確認すべきポイントがはっきりしてきました。

こういうことをもっと他の立場の人たちともたくさん重ねていくことで、やるべきことがもっと見えてくる。その最初のステップとしてとても有意義な場でした」

金山「街が進化したり文化的に成熟していくために重要なのは、目の前の課題解決だけでなく、10年後、50年後、100年後の成長の余白、可能性をイメージしながらモノをつくっていけるかどうか、だと思います。
例えば、明治神宮は100年後に自然林を作ることを目標に設計されて、しかもそれを80年で実現してしまった。渋谷というのは、“100年後の未来”の可能性にチャレンジしてきた街なんじゃないかと思っています」

小泉「代々木公園は、賑やかなときもあるが基本的には静謐な場所。こうした《静》の場所に《動》の文脈を入れていくのが、このスタジアム構想なのではないかと思っている。

そういった《静》と《動》が、矛盾しないようなスタジアムのあり方を求められているように思っているので、代々木公園の場所性を大事にしながらも、次の世代に繋げていくあたらしい場所、文化がこのスタジアムから実現されていくことを意識したい。100年先の未来にこんなものが残せたよ、と言えるようなものにしたいです」

またあらためて最後に金山から、

「皆さんから貴重な意見を聞く機会を引き続き持っていきたいので、これからもご意見、叱咤激励をいただければ嬉しい」と語り、締めくくりました。


今後も多くの意見を取り入れながら、構想をアップデートをしていくため、イベントを定期的に行っていきます。

オフィシャルサイトにてより多くのみなさまのご意見、コメントを募集しています。
本構想に賛同いただける方は、ぜひ応援の声や投票もよろしくお願いします!

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