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2019.03.27
《水辺》からの《街づくり》を考える「ミズベリング・フォーラム 2019」レポート & 渋谷川「WORK PARK PACK」始動!

MIZBERING FORUM 2019
-河川活用選考事例発表と創発アイディアミーティング-
2019年2月28日(木)
@渋谷ストリームホール
主催:ミズベリング・プロジェクト事務局
共催:国土交通省 水管理・国土保全局/国土交通省 都市局
協力:東急グループ/(一社)渋谷未来デザイン/地方創生イノベーターINSPIER


未来のミズベとは!? 未来のマチとは!?
日本各地の水辺のイノベーターたちの現場報告や表彰、これからの河川空間活用アイディアミーティングを通して、水辺からの街づくりについて考えるのが、この「ミズベリングフォーラム」。

ブルース・ブラザーズに扮した登壇者(国土交通省 水管理・国土保全局 桝井さん、吉村さん)や、全身青タイツの“ミズベリング星雲 広報大使” ブルーマンが随所に登場するなど、ポップな演出がとにかく印象的なこのイベント。
フォーラムというと堅苦しくなりがちなものですが、ユニークな心配りによって楽しい雰囲気で、笑いの絶えないアットホームなムードのなか、会は進行していきます。

水辺からまちを変える、個性的なイノベーターたちが全国から集結
「川ろうぜ!街がえようぜ大賞」

オープニングのあと行なわれたのは、「川ろうぜ!街がえようぜ大賞」の公開選考会。
同賞は、水辺を活かしたまちづくり活動において、新たな時代の新たな目標に向かって前向きに取り組んでいる人材を発見し賞賛するというもの。
リコメンダーによって推薦された33名のうち、事前の選出会議によって選ばれた11名のノミネート者が順にその活動をプレゼンしました。

ここではその一部をご紹介します。

<“あたっても砕けない熊本代表” ジェイソン・モーガンさん>

ニュージャージー州を流れるデラウェア川で遊んび育ったモーガンさん。熊本の地へやってきて美しい白川の流れに惚れ込んだのだそう。
熊本市の中心市街地から白川を挟んで対岸にある九品寺エリアをはじめ、地域をより活気づけたいと考えたモーガンさんは、白川の河川敷で夜市や夏祭りを“勝手に”開催。しかし実はそれと同名の夏祭りがすでに地域に存在していたことを後で知り、同時に注意を受けたのだが、なんとそれをきっかけに地域住民の方々と交流を深め、今でも白川を盛り上げる活動を続けていると言います。
その“あたっても砕けない”推進力は、白川への愛とモーガンさん自身の人柄があるからこそなせる技なのでは。

<“仙台の水辺はまかせろ” 豊島純一さん>

仙台・広瀬川を舞台に、誰に頼まれてもいないのに「せんだいセントラルパーク構想」を作り上げ、推進しているという豊島さん。
広瀬川の流域は仙台市の全体の半分ほどにまで広がっています。そのうち、仙台駅から西公園の間の約1.5kmのエリア《セントラルパーク》と名付け、ひとつの大きなパークと見立てて整えよう、というのがこのプロジェクト。豊島さんは「市の政策には全くなっていません」と笑います。
[食べる・佇む・巡る・知る・集まる]をテーマに、ピクニックやウェディングなど様々なユニークな企画を実施。川辺にハンモックを並べて、やがて人が集うようになったり、西公園に卓球台などを置いてコミュニティ・スペースを作り出す社会実験をしてみたり。
それらは、「子供だけで行ってはいけません」と学校で指導される広瀬川で子供たちに遊んでほしい、大人が居られるような場を作れば子供たちも広瀬川に来れるのだという、豊島さんの熱い思いが発端になっています。

<“水都大阪のクルーズ船親分” 大江幸路さん>

大阪のクルーズのブランディングを図りたいと設立された「大阪シティクルーズ推進協議会」の事務局長を務める大江さん。“親分”と称される所以は、協議会設立時から、大阪の数多くの個性ある舟運事業者が一丸となり進む必要性を一人一人に説き、皆を束ねてきたその手腕から。
10年前は各地域にそれぞれ別々の“ファミリー”があったような状態、と大江さんは言います。しかし、自社の利益だけを追求するより、他社も含めた皆が協力しあって全体が儲かる仕組み作りが必要と考え、大阪のクルーズ全般のブランド化に取り組んできました。
全国にも類を見ないこの取り組みを仕切れる人はこの人しかいない、その迫力と粘り強い献身的な活動が評価されてのノミネートとなりました。


このように、どのノミネート者も非常に個性的(活動も、人柄も)。プレゼンテーションを聞くと、どのプロジェクトもとても大変そうなのですが、同時にとても楽しそうに見えるのが不思議です。

本来は、ここで1人が対象として選出される予定だったのですが、選考委員たちによる協議の末、「みな素晴らしく、どうしても選びきれない」ということで、下記の選考委員個人賞等のほかは全ノミネート者が大賞、と決定しました。

<選考委員個人賞>

法政大学特任教授 陣内秀信 選:“水都大阪のクルーズ船親分” 大江幸路さん
「東京ではなかなか大阪の事例のようにはいかない。ぜひ東京にご指導ください。」

E-DESIGN 代表 忽那裕樹 選:川沿いの長門湯本温泉の活性化を図るため、まちと企業、投資家などを取りまとめ、自在に旗振り役をやってのけるという“ぶっ飛び行政マン” 松岡裕史さん
「変態公務員ぶり、最高(笑)。間違えながらも前に進んでいく行動力が、街全体に広がっていくのを感じます。」

Open A 代表 馬場正尊 選:“仙台の水辺はまかせろ” 豊島純一さん
「勝手に決めて進めること、それって民主主義だなと思いました。ぜひ一緒に仙台市に政策提言しましょうよ!」


街をつくりだすのは「人」である——
斎藤精一さんによるトーク

その後、ゲストトークとして、株式会社ライゾマティクス代表で、渋谷未来デザインのフューチャーデザイナーでもある斎藤精一さんが登壇。
行政調整など、各所の協力・承諾を得てプロジェクトを推進することの難しさや、それを効率的に行う極意などについて語りました。

街づくりに関わるプロジェクトの場合、どうしても国交相や市区町村など、関係各所との調整に追われてなかなか前に進まないことが多く、また、行政側とクリエイティブ側(アーティスト側)との溝が得てして大きく、それを埋める役割が必要だと感じた、と言います。

それは、各所の「扉」をスムーズに開けられるマスターキーのようなもの。
その役割を担う為、産官学民連携の組織である渋谷未来デザインにフューチャーデザイナーとして参加することにした、との経緯にも触れられました。

「都市×文化×テクノロジー」というのはよく語られることだが、例えば街なかの路上で公式にパフォーマンスをすることはなかなか難しいなど、昔よりもその自由度は下がっている、と斎藤さんは指摘します。
しかし文化というのは、街や風土、最終的には人から生まれるもの、とした上で、これまでにその視点に立って手がけてきたプロジェクト事例をいくつか紹介しました。

そのうちのひとつは、東京ミッドタウンの芝生広場とミッドタウン・ガーデンで、その公園としての可能性を広げるプロジェクト『PARK PACK』(2018年10月〜11月に実施)。

さまざまなツールとテクノロジー、言わばたくさんの“遊び道具”が詰め込まれたコンテナが公園内に複数台出現、公園利用者はそれらを思い思いの方法で利用したアクティビティやワークショップなどに参加することができ、そこに賑わいが生まれていく、というもの。

まさに、街をつくりだすのはそこで活動する「人」である、という視点に立った、既存スペースの積極的な活用事例でした。

そんな『PARK PACK』が、この度、渋谷の水辺に出現することに。
「今日から、渋谷川にコンテナが3基置いてあります」と斎藤さんは紹介します。
これは『WORK PARK PACK』と題した、渋谷川沿いの水辺空間「渋谷リバーストリート」利活用の社会実験プロジェクト。

公共空間の可能性を引き出す道具である『PARK PACK』を活用しながら、ビジネスパーソンだけではなく、渋谷で生活するすべての人と“WORK”の可能性を模索する場。渋谷川沿いならではの利活用アイデアを検証する社会実験の場です。

「今回は実証実験なので、中身のコンテンツは特に決めていません。3月1日から3月31日まで、広く皆さんから具体的な活用アイデアを募集中です」とアピール。「“渋谷川でこんなことをやってみたい“、“全国各地で行なったプロジェクトを、渋谷にも持ってきてみたい”などのアイデアがあれば是非お寄せください」。

トークの最後には、「まずは行動、実装が大事。考えることよりもまずアクションをすべき」と熱いメッセージを添えられました。


その後もイベント内では、ヘルシンキと中継を繋ぎ、フィンランド日本大使館員の須賀可人さんに、同地での公共空間の使い方についてのレポートを聞くなど、有意義なコーナーが。

フォーラムのプログラム終了後には、会場の渋谷ストリームからほど近く、『WORK PARK PACK』の現地を、来場者の多くが実際に訪れ、渋谷川の歴史の新たな1ページへの希望を胸に、皆で乾杯!

雨の降るなかでしたが、渋谷と水辺の未来に夢を膨らませる1日にふさわしい締めくくりとなりました。